劇場公開日 2019年3月23日

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「もっとエロく!」漂うがごとく よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

1.0もっとエロく!

2019年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

萌える

 「モン族の少女 パオの物語」で繊細な役を演じていたドー・ハイ・イエンが、新婚でありながら、ちょっと危険な男にはまっていく妻を演じている。
 結婚したばかりの旦那が、男としてどうのこうのという以前の、単にまだ子供なのである。だから、通訳を職業にしていて、小説家の友人がいる美人が、なぜこのぼくちゃんと結婚をしたのかが、まず不可解なのだ。
 映画を通して、ずっとその不可解さがつきまとった。
 主演女優は魅力的で、エロティックな場面ではドキドキさせられた。しかし、彼女がなぜ、その危険な男に魅かれるのか。そして、おそらく小説家の友人も彼に魅かれていることは分かっているだろうに、相談相手にすることが理解不能である。
 もちろん、それだけこの悪い男にはまってしまったということなのだろうが、それならもっともっとエロいことをされていくことを描かなければ観客には伝わらない。
 例えば、アン・リーの「ラスト・コーション」は、そこまで必要かと思わせる激しい性行為の描写が続く。このおかげで、諜報活動と性愛の緊張感を一体化することに成功している。
 この作品では、主人公の新妻と危険な香りの男との行為が緊張や葛藤を生んではいない。その理由の一つに、女性の側に罪悪感がないことが挙げられる。
 いや、罪悪感はあるにはあるのだ。ただ、それは友人にもらったネグリジェが、「プレイ」のために裂けてしまったことに対するものなのだ。結婚したばかりの旦那への罪悪感はほとんど見られない。
 変態になっていく妻の中に、子供のままの旦那に対し、物足りなさと罪悪感と、そして軽蔑の感情が渦巻く様を描かなければなるまい。

佐分 利信