「簡単な映画なのか、難しい映画なのか」映画 賭ケグルイ やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
簡単な映画なのか、難しい映画なのか
まず、福原遥さん。『4月の君、スピカ。』の時とは真逆とも言える前半のクールさ、そして後半の振り切った演技に驚かされました。
それから、宮沢氷魚さん。雰囲気が良いですね。しっかりした思想を持っている様な佇まいを醸し出します。
それと、意外と良いと思ったのが伊藤万理華さん。立ち上がる民衆を象徴する様なエネルギーを感じました。
さてこの映画、奇抜な設定で英監督なので、笑える映画になっていると思っていました。
でも、そういう感じはあまり無かった。
それでも、映画そのものはとても楽しめました。
それでですね、私はこの映画は深く考えず気軽に楽しむ感覚で観ていたんです。
だけど、観ているうちに、これは難しい作品なのかもと思えてきました。
まず面白いと思ったのが、浜辺さんが演じた主人公の夢子が、最後まで何を考えているのかよくわからない事。また、人物像の掘り下げもあまり無い。
ドラマから派生した映画だというのも大きいんでしょうけど。
なので極端な話、この映画は、夢子を取り除いてもストーリーは成り立つ気がします。もっと言えば、ギャンブル要素も無くても成立しているかも。
その場合は、権力支配と民衆の対立の構図になるんですよね。
あと、ヴィレッジのシーンは舞台調になるので、より民衆感が出ていた気がします。
それでですね、もしこの映画を難しい作品だと仮定すると、テーマの一つは、「救い」とは何か、だと思うんです。
でも、明確な答えは出せないんですけど。
この辺りの考え方は、宗教観も影響するかもしれません。
また、裏切り者が存在した事で、「許し」についても考えさせられたかな。
こちらも、明確な答えは出ないのですが。
制作陣がこの作品に、どんな想いを込めたかはわかりませんが、なかなか面白く難しい作品だと思いました。