「長年のファンとしては複雑な思いになる映画」コードギアス 復活のルルーシュ kouさんの映画レビュー(感想・評価)
長年のファンとしては複雑な思いになる映画
オールスターでゼロレクイエムのあとを描いた映画。
これまでは見られなかったキャラクターの関係性が見られ、ファンとしてはとても感慨深いものでした。
そして新キャラクターの関係もきちんと描かれていて、完成度の高い作品だと思いました。
ルルーシュが復活し、在りし日のように戦術と戦略を使い敵を攻略していく、ああコードギアスが好きでよかった、と思えた作品でした。
ただ、一部の描写については簡単には受け入れられず、ファンとして困惑しています。
まず一番困惑したのは、スザクについてです。最後スザクのみが十字架を背負う結果になってしまったように見えて、とても辛かったです。
本物のゼロ(ルルーシュ)が復活したことで、自分はゼロになれないと自覚してしまったのに、これからもゼロとして孤独に世界の平和のために生きなければならないのでしょうか。
中盤での、ユフィの敵であったルルーシュに対し、「孤独で寂しかった」と吐露したスザクは、ゼロレクイエムのあとずっと孤独であったように思えました。そしてあのEDのあの後ろ姿、とても辛いです。
そしてスザクに世界をもう一度託すのであれば、その思いをきちんと言葉で伝えてほしかったです。
ゼロレクイエムに対して、ルルーシュとスザクが起こした行動の責任を取らなければならないのに、スザク一人が責任を取り続けていく結末ように受け取れました。
次にルルーシュのセリフ。「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。」このセリフは、ギアスを素晴らしい作品に仕上げだ一つの要因でもあったので、あの流れで使われることに違和感を感じました。てもファンに、反逆の再演を期待させてくれるサービスとして入れてくれたのでしょうね。嬉しい思いもありますが、とても複雑です。そんなに簡単に口にしていいセリフではなかったと思っていました。ここはあえて使わないで欲しかったです。
そして、ルルーシュ自体。ルルーシュはギアスによって人生が狂わされることを知っていたからこそ、ギアス教団を壊滅させたはずなのに、そのギアスを与えるような姿は違和感がありました。己がコード保持者になり、明日を願う世界が実現したため考え方が変わってしまったのでしょうか。それとも今回は描かれなかったけれど、コード保持者としての葛藤があったのでしょうか。それともギアスを回収している、次作への伏線でしょうか。
それに先読みされて作戦が崩れることなど、今まで何度もあったことなのに、今回はだいぶ打たれ弱かったと思いました。c.c.とのあのシーンのためでしょうか。今までの軌跡があってルルーシュのはずなのに、過去のルルーシュとは大分違ってしまったように思えました。
ゼロレクイエムでルルーシュは確かに一度死に、別人のようになってしまったように思いました。また、完全な不老不死でもないのでしょう。
ナナリーとの再開。もともとナナリーが幸せに暮らせる世界を作るために起こした行動であったはずなのだから、ナナリーの願いに対しどういう思いであれ、きちんと向かい合う描写を入れて欲しかったです。
なぜシャーリーは生き返ったのか。映画3作でずっとわかりませんでしたが、この作品を見て、本当にわからなくなりました。この結末はシャーリーが望んたルルーシュの幸せだったのでしょうか。制作側は最後に笑った彼女を見たかったのでしょうか。この結末ではロロが死んだ意味が本当にわからなくなってしまいました。
最後に、c.c.のキャラクターの変化。R2最終話での凛としたc.c.の顔が好きでした。魔女として、ルルーシュを一つの歴史の一部として捉えられる強さが彼女の魅力だったはずなのに、ただの一人の女性になってしまったこと、神楽耶やシャーリーと同列に自分をおいてしまっていることが、ショックでした。
それにルルーシュをもとに戻したいならなぜ一人で抱え込んだのでしょうか。てっきりここでジェレミアが活躍すると思っていました。皇道で伏線をはったのかと思ったのですが、違ったようですね。
最後を見てしまうと、彼女のわがままに皆が振り回されたのかなと思ってしまうぐらい。
二時間という短い時間で上手くまとめられた作品ですが、ルルーシュの人気を残しつつ違う主人公のギアスアニメを作りたい、c.c.を幸せにしたい、そんな制作側の意図が強く反映された作品のように感じられました。
都合の良いようにギアス、cの世界、キャラクターを改変させられているように見えましたが、限られた時間でルルーシュを復活させるには仕方がないのかとも思いました。
だからこその「ファンムービー」なのでしょう。
大好きな作品だからこそ、キャラクターすべてを大切にして欲しかった。それほどにどのキャラクターも作品の中で役割があり、罪があり、罰があり、だからこそ魅力的で大好きでした。
それとも数回見ただけではわからない奥深い設定があるのでしょうか。
それならば、これを完結として位置づけるのは非常に残念で、ファンとして非常に複雑に思います。
この作品は、テレビシリーズの続編ではなく、映画版の一つの区切りとして受け止めたいと思います。
反逆のルルーシュは、これからもずっと大好きです。大切な作品です。これからもずっと応援していきたいと思います。
kouさんのレビュー拝見させていただきました。たしかに仰る通りですね、スザクに関してはルルーシュが生きていたことによってゼロとしての存在意義と背負ったものの根本が崩れてしまい、みんな良かったね的(主人公サイド)な終わり方のなかで彼だけが曖昧模糊と暗闇のなかに取り残されてしまった感がありました。
自分はこの作品でコードギアス(TV版)という作品に対する想いは正直損なわれてしまいました。が、一方でCC好きとして彼女の物語的には大変良い作品だったという認識もあり。こういうわかりやすい恋模様とその成就、好きなんです笑
IFとして、別の世界線の話として、これはこれでありかもなとも今では思いはじめております😀