「佳山さんあっての作品となった」37セカンズ chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
佳山さんあっての作品となった
主人公を演じた佳山さんのプロフィールをみて「えっ、自分の後輩」 彼女のインタビュー記事などを追っていくと、関西から愛知県の大学に進学して、社会福祉士の国家試験を通って関西に戻ってきて地域福祉の相談援助を担っている法人で働いていて、この映画のオーディションに参加している 後輩といってもかなり年齢差はありますが、遠い土地に進学して、傾斜のきつい広いキャンパスで4年間学んで、国家試験に合格している 彼女自身
は柔らかな声や表情であるが、彼女が歩んできた人生そのものがこの映画の原点、とも思えるような作品でした
障碍者は常に守られる者という教育を受けてきて、特に先天的な障碍者はそういった社会の庇護を一方的に受ける存在と思われてきた その親特に母親は本人と社会に対する責任を感じ、本人の介護や療育などをかかえこんでしまうことも多いと言われている 神野さん演ずる母親の冒頭の入浴や更衣のシーンなどは、日々毎日行っていることではあるけれど、高齢者の介護と異なるのは「母親だから」「私が産んだから」という気持ちが強いからヘルパーではなく自分がしなくてはならないという思いが強いのでしょう
一方的に庇護されることが本人の願いではなく、盛んに言われる「共生」「自立」の意味合いを一層考えるものでした 性描写や風俗店など私たちの生活にはあたりまえのことが描かれているのに、今までこういった映画には似合わないものとして自分の中では思ってきたことに反省 そういった場面で親に反発する主人公に寄り添う渡辺真起子さんの言葉、表情、とても暖かいものでした 渡辺さんこういう役本当にぴったりです
佳山さんの「37秒」、また双子のご家族のことなど、佳山さんご本人の今日までのあゆみが作品の内容に反映されていることも、記事で拝見しました
脳性麻痺という障碍のこと、そしてその母親のこと、佳山さんは女優として「演じた」のだけれど、佳山さんのあゆみが反映されていたような思いをもちました
(2月11日 MOVIX堺 にて鑑賞)