「親愛なる青春ヒーロー」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
親愛なる青春ヒーロー
スパイダーマンの最大の特徴は、彼が高校生だということだ。思い出して欲しい。史跡巡りより友達と遊びたかった修学旅行を。思い出して欲しい。宿題よりデートが優先された夏休みを。
ピーターが生きているのはそういう世界だ。
ピーターを見ていると、なんだか親戚の男の子みたいで微笑ましい。「若いな~、青春だな~」とおばさん目線で可愛がりたい。メイおばさんみたいにホットじゃないが。
今作「ファー・フロム・ホーム」はタイトル通り、ホームグラウンドであるN.Y.から遠く離れた異国の地で、「良き隣人」から「世界のヒーロー」に成長するのかどうなのか、という話である。
そこへ高校生らしい悩みがプラスされ、将来の選択へと影響していく。
ある意味、アベンジャーズの面々が通ってきた道でもある。
「ホーム・カミング」では、ヒーローたちの激突場面に居合わせ、テンション高くはしゃいでいたあのピーターがねぇ。「そうか、ピーターにもそんな時期が来たのか」とつい思ってしまい、感慨深い。
そういう意味でも、ピーター=スパイダーマンはまだ子供だ。成熟した大人には、スパイダーマンの英雄譚は少し物足りないのかもしれない。
でも、子供だからこその悩みに、かつて子供だった大人たちも思い当たることはあるはず。
子供だからこその恋愛に、かつて子供だった大人たちだってヤキモキするはず。
そして、子供だと思っていたヤツに我々大人の面影を感じて頼もしく見えたりするはずだ。
今ドキっ子のピーターが、今ドキっ子らしく恋愛して、成長して、それを見守っていけるのがおばちゃん嬉しいよ。
地上で見守れない人の分まで、ちゃんと見守っていくよ。
そんな気持ちにさせられた青春ヒーロー映画でした。