「原点の面白さが蘇る最新作」ターミネーター ニュー・フェイト みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
原点の面白さが蘇る最新作
思わず、ターミネーターってこれだよ!と頷いてしまった。ターミネーターシリーズ原点の面白さを堪能できる作品だった。さすがに、T1,T2を手掛け、本作で製作に復帰したキャメロン監督の作品コンセプトは本作でも揺るぎなかった。
本作の舞台はメキシコシティ。自動車工場で働いていた女性ダニー(ナタリア・レイエス)は、ある日、突然、未来から来たターミネーターREV-9(ガブリエル・ルナ)に襲われるが、同じく未来から来た強化型女性兵士グレース(マッケンジー・デイヴィス)に助けられる。その後も、執拗にREV-9はダニーを襲うが、そこに、サラ・コナー(リンダ・ハミルトンが現れる・・・。
序盤は、未来の重要人物ダニーを巡る、REV-9とグレースのスピード感溢れるバトルシーンの連続であり、息つく暇もないくらいだ。中盤以降、そこに、サラ・コナー、T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)がグレース側に加わり、両者のバトルは更に激しさを増していく。
歳は重ねたが、リンダ・ハミルトンの存在感が際立っている。特に、サングラスを掛けた時の佇まいは、闘う女性そのものでありオーラがある。シュワルツェ・ネッガーの落ち着いた達観した雰囲気にも磨きが掛かっている。
REV-9の強さは圧倒的であり、攻めのREV-9、守り抜くグレース側という構図、居場所を変える中で、グレース側の人物像を浮き彫りにしていくという作劇は、T1,T2と同様であり、T1,T2の原点に回帰した感じがする。
原点に回帰したのだから、繰り返し、エンドレスシリーズにすることも可能である。しかし、私は、本作は、T1,T2のレクイエム的な作品だと感じた。シリーズを閉じるために、原点回帰したのだと感じた。
エンドロールが流れ始めた時、ターミネーターシリーズの印象的シーンが頭を過って、自然に涙が溢れてきた。シリーズ最終作という予感がして、劇場を去る時に、ありがとう、さらばターミネーターと心の中で呟いてしまった。
続編は可能であるが、有終の美を飾るなら本作だろうと強く感じた作品だった。