「これがターミネーターだよね。」ターミネーター ニュー・フェイト キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
これがターミネーターだよね。
良くも悪くもこれが「ターミネーター」だったな、とあらためて確認することになった。
これは決してこの作品がつまらないとかということではなく、そういう運命の作品なんだ、と理解すべきなんだろうと思う。
やはり我々、まだまだ無名監督の1人だった彼の、まだまだ低予算映画だった第1作の凄さを劇場で経験し、大バジェット作品となった「T2」の凄さをあらためて目の当たりした世代にとっては偉そうに「ケッ!」という意見が多いのも分かるし、これだけ技術が進んでもなお、その期待に応えてくれる続編が現れていないという現実を踏まえても、あらためて「続編の難しいシリーズ」であることは明らかなんだろう。
もちろん、今作もなんだかいろいろ言いたいことは書き出すとキリがない。
「グレースって、あれホントに人間って言える?」「そのパターンで送られて来る刺客を対応し始めたら今後この話は『どうしたって終わらない話』になっていくよ」とかね。
ジョンがサラとカイルの息子であるってタイムパラドックスに関しては、そもそも第1作ですべて終わりにしてこそ振り返ることができたはずで、続編を作った以上もうその辺りの不可解さは(私の中では)「言いっこなし」。
敵のターミネーターも、結局のところ30年近く前に公開された「T2」のT-1000がどれだけ鮮烈だったかをあらためて教えてくれるのみ。
この監督のSF作品ではいつもいつもいつもいつも思うんだけど、彼の描く未来のビジュアルって、一般的な表現で言えば「無骨」、悪く言えば「超ダサい」。
今回登場した未来のどんな敵や兵器より、実在するドローン兵器のほうがデザインが新鮮ってのも…
でも、マッケンジー・デイヴィスやナタリア・レイエスといった、強い女性たちを今作はバリバリの主役として起用したことは現代の映画シーンを象徴するものだし、やっぱりリンダ・ハミルトンやシュワルツェネッガーがあの歳でアクションを頑張っているってだけで、ターミネーターシリーズとして「まあ、よしとする!」という立場を結局私は支持したい。
仕切り直しの正統な「T2」の続編、みたいな立ち位置の主張はむしろ邪魔で、「ターミネーターシリーズ」としての一般的ポイントはしっかり押さえてあるし、深く考えなければ、あの「ターミネーター」がまた楽しめるんだから、それでいい。
グチャグチャ言いたい人たちは言い合うのもそれなりに楽しいし、単純に楽しみたい人にはそれなりに楽しめる。
それが僕たちの「ターミネーター」だからね。