ROMA ローマのレビュー・感想・評価
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映像美を駆使した最高のドキュメンタリー
アカデミー賞作品賞にもノミネートされた作品でずっと気になっていたので鑑賞。自分のかなり好みの作品であった。
ストーリーはある家族とその家政婦の日常を描いたもの。
まず、特筆すべきはその映像美。カメラワークが秀逸で、音楽をあまり使わない演出とモノクロ映像は完璧にストーリーにマッチしていた。
日常を描いたものなのでストーリーに起伏があるわけではないが、その時代を生きる女性、子供と家族の関係性など見ていて感じ取れることは多い。
あまり多くを語らず、自分のことよりも他者を思いやるクレオの精神性はひしひしと伝わってくる。ヤリッツァ・アパリシオは表情や動作でクレオの感情を完璧に表現していた。
「万引き家族」にどこか通じるものを感じたが、"孤独感"や"愛情"といった普遍的なものを映像美を駆使して丁寧に描いた本作は鑑賞者の心に寄り添うものとなっている。
渇いた空気 車 犬 海のにおい
映像で五感を刺激されるという感覚を初めて強く受けました。ゼロ・グラビティもそうでしたが 土 水 空気の香りを感じさせるのがこの監督作品の真骨頂に思いました。波打ち際のシーンがドキドキ止まらない。
なんか、いい・・
決して幸せ満載ではないし
映画に興味が無い方には
最近はあまり見なれない白黒作品だし
多分退屈で難しい遠回しされそうな作品ではあるだろうけど
なんだろう・・私にはとても後味が良く
穏やかな幸福感さえ感じられた素晴らしい作品でした
自分の記憶まで引きずり出される圧倒的に美しいモノクロ映像
1970年メキシコシティのローマ地区、クレオは4人の子供がいる家庭で働く家政婦。炊事洗濯や子供の送り迎えと忙しい毎日の合間に恋人のフェルミンと会うのが唯一の楽しみ。ある日自分が妊娠しているかも知れないと気づいたクレオは思い切ってフェルミンにそのことを告げるが・・・。
時代設定に滲んでいる通りアルフォンソ・キュアロン監督が自身の子供時代の記憶に着想を得た半自伝的作品。かといって子供目線で描写しているわけではなく当時は自身が知りようのなかった大人達の事情を丁寧に補完することで個人的な物語に普遍性を持たせるかのような演出。全編モノクロ映像ですが恐らくは相当なCGと撮影テクニックを駆使したと思しき全てのカットが画期的に美しく、あちこちに転がる飼い犬ボラスのフンにまで郷愁が滲んでいるかのよう。物語の節々に影を落とす当時のメキシコを覆う不穏な政治情勢、国土の荒廃や天災がじわじわと身辺に忍び寄り、ついには慎ましく生きるクレオに容赦なく襲いかかる様を冷たく見つめる映像に胸が痛み、ある事故をきっかけにして誰にも語らなかったクレオの心情が露わになるカットで思わず涙が溢れました。
70年代のメキシコが舞台ですが時代の醸す空気感を忠実に再現しているので、自身の記憶に微かに残る昭和40年代の風景までが引きずり出されるかのような不思議な感覚も誘発されて忘れ得ない印象的な作品。登場する女性達が皆忍耐強く逞しい一方で、男達はどこまでも無責任でクズばかりという辺りに当時は監督自身無自覚であったであろう当時の唾棄すべき価値観に対する怒りも滲んでいるような印象を持ちました。それでいて所々で突拍子もないギャグを放り込んでくるラテンなシャレにビックリさせられたりしますし、重要な人物がシレッと画面を横切ったりするので淡々とした映像に油断していると作品の印象が全く異なるものになってしまうので要注意です。
感情に注目したい作品
家庭、親、祖母、子供達、家政婦さん
登場人物それぞれに感情があって
いろんな事情により揺れ動く
だからこそモノトーンで作品が成り立つのかなと思ったりします
”感情”そのものに注目するために
僕は最後の旅行から帰路につく車中で、社外を見つめるクレオの表情があれだけ生き生きと、吹っ切れた表情に感じられたのは、作品全体として感情に惹き込まれるからであって
ワンカットも長い(出産シーン、自宅の駐車場に車を止めるシーンなど)ですが、それも含めて感情に着目すべき作品かなと
淡々と流れる深みのある日常劇
モノクロの画面に描かれるストーリーは単純ながら決して飽きさせる事無く最後まで一気に観てしまった。
ワンシーン・ワンカットの長回しが多様されるが、本来長く感じる本編だが、あっと言う間に終わった印象が強い。
不思議な映画であるけど、本当に計算されたような画像の作り込み、センスが素晴らしいと思う。
最初タイトルでイタリア映画と思ったが、メキシコが舞台の今作。
昔のヨーロッパ映画を彷彿させる品格さえ感じる。
正直な人間の弱さ
個人評価:3.8
アルフォンソ・キュアロン監督の半自叙伝との事だが、ゼログラビティとはうって変わって、全く違う作風である。
誇張や脚色もなく人間其の物をあるがままに描いた作品であると感じる。
人間は無慈悲で冷たく弱くそして温かい。召使いである女性の瞳を通しストレート伝わってくる。そんなどの時代も変わらない普遍的なテーマを描いている。
命は尊いモノと当たり前のように人生の教科書には書かれているが、向き合い方まで誰も教えてくれない。
母親になるはずだった女性の正直な弱さがとてもリアルに描かれ、心を動かされる。
映画としてはゆっくりとした描写やペース配分で間伸びするが、良作と感じる。
映像が非常に美しい
ナチュラルで非常に美しい映像に、とにかく魅了された。
終始静寂に包まれた作品ながら、全く飽きることなく、どんどん引き込まれていった要因は、絶妙な演出にあるような気がした。必然でありながらも偶然と思わせてしまう目論見やら、時々笑えるところなどが非常に印象的で、想像を超えた煌びやかなものを感じた。
この時代のモノクロ映画には決して肯定的になれないけれど、こういった作品を目の当たりにすると、ぐうの音も出ない。そこに確固たる意志と、カラーを超越した色彩を見いだしてしまう。
映像そのもので感動できる作品だった。
幸せを描いた映画ではなく、むしろ厳しい現実を目の当たりにする。それ...
幸せを描いた映画ではなく、むしろ厳しい現実を目の当たりにする。それでもそんな日常の積み重ねを通して人間の温かさが静かに心に沁みこんできた。モノクロ映像も効果的。
臨場感
予備知識を余り入れずに気軽に観る
日々の生活描写を眺めるうちに、その家庭にすうっと溶けむように入り込んでしまう。
淡々とながれる心地のよい時間と時折起こる大小のイベントで織りなす、心に沁みる人間模様。
鑑賞後、「監督からのメッセージ」には素直に頷きました。
市井から普遍へ
大風呂敷を広げた物語より、今この時代に必要とされていることは、本作のような、市井に宿るドラマだ。
本作や『万引き家族』のような、日常と生活のスケールから始まり帰納的に普遍へと導いていく作品が、およそ多くの共感を呼び、新たな時代を率いていくのだろう。
言うコト聞かねぇんだヨ、ガキは
最後まで親に言われたことを守らないイタズラ好きな子供が四人も!これは多くて大変だ!!
槍の宝蔵院フルチン野郎は映画館からバックれて情けないくらいの恫喝を浴びせてキャラが強くて笑っちゃう。
床を水で洗い流した時に映る飛行機から写真集を観ている雰囲気の映像とスクリーンで鑑賞できないのが惜しい綺麗な描写の数々。
対照的な女性が強く逞しく生きて行かなければならない姿をクレオにも母親にも共感しながら少しハラハラしたり大いに感動したり最後には和める余韻に浸って。
希望のある終わり方でホッと一安心。
きれいな映像だけど
アカデミー賞で外国語映画部門でなく作品賞の方に回ってくれたら「万引き家族」にも可能性が出るのに、というくらい高評価で、確かに白黒にも関わらず映像がきれいだと思ってしまうのはすごい。
1970年のメキシコで、ある一家にメイドとして働く若い女性が主人公で、彼女の妊娠を話の中心に据えつつ、メイドと4人の子供の関係、夫の浮気による離婚で傷つき、しかし自立の決心をする女性、その当時ならおそらく珍しくもなかった彼女の妊娠に全く理解のない元恋人?、その彼も参加していた学生による暴動など、色んなものを、静かに描いている。主人公も無口な女の子だが、悲しそうだったり、優しそうだったり、と表情豊か。
しかし淡々としていて退屈と感じる人もいるのでは?
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