「家政婦を主役に据えた家族映画」ROMA ローマ akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
家政婦を主役に据えた家族映画
クリックして本文を読む
筒井康隆の七瀬シリーズは超能力をもつ女性が家政婦になり家族の秘密を知る物語だった。最近では山田洋次監督の「小さいおうち」もブルジョワ家庭に住み着いて家庭内事情に関わらずにいられない家政婦の物語。この「ROMA」もやはり似ている。しかしほんのすこし趣が違う。ほぼちょい役のふたりの男、子供たちの父で医師のアントニオ、武道をやっている謎の男フェルミンが2人の女性ソフィアとクレアを同時期に不幸に陥れる。しかし彼女たちは淡々と運命を受け入れ、潔く生きて行く。
家政婦も不幸になり、雇い主も不幸になるという別々の不幸が重なるところにこの映画の説得力があるような気もする。アントニオとフェルミンは、男としての責任を放棄しただめな男たちではあるが、犯罪者というわけではない。
1970-1971の一年間、夫の不在、自動車、犬、銃、メキシコの裕福な農家、火事、地震、子供たち、女性たち、映画、テレビ、電話、音楽、手紙、恋と妊娠、出産、死産、若者たちの暴動、いろいろなものがモノクロで緩やかに詰まっている。
万引き家族でも海岸へ行き、海水浴をしたが、こちらでも海水浴はクライマックスにもってきている。
非常に地味な脚本で、映像演出もモノクロで長回しと引きの絵が多いせいか地味な印象だ。
しかし父親のいた時と居なくなったときを描いており、それが物悲しさを醸し出している。
コメントする