「折り合い」女王陛下のお気に入り ユージーンさんの映画レビュー(感想・評価)
折り合い
無能で身勝手な女王に取り入るために策を練り、女王からの信頼を一身に受ける幼なじみの側近である女を蹴落とし、その座に取って代わるしたたかな女の話でした。
話自体はそれほど奇抜なものではなく、一言で言えば、没落した娘の下剋上です。そんなありきたりにも思える物語でありながら、この作品がかなりの高評価を受けているのは、ひとえに、監督のアレンジ力と主演の三人の女優の怪演があってこそでしょう。
エマ・ストーンの、物語が進むにつれて徐々に大胆になっていく様がとても印象的でした。オリビア・コールマンのダメ女王っぷりも見事でしたし、レイチェル・ワイズの如才ない側近感も、怖いくらい素晴らしかったです。
広角レンズを多用した撮影技法にも新鮮さが感じられました。「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」よりもインパクトは薄く感じましたが、大衆が受け入れやすいレベルにまで下げつつも監督さんの表現したいことも残っていて、ちょうどいい塩梅の作品になっていたように思います。
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