劇場公開日 2019年2月15日

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「ノブレス オブリージュ」女王陛下のお気に入り キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ノブレス オブリージュ

2019年2月18日
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まず…映画の感想からはズレますが…

今日も上映中、2人の携帯が鳴った。

…ふう。
気を取り直して。

セリフや名称(特に人物の呼び方が複数ある)をちゃんと聞き、展開されている行為や表情の意味をしっかり追っていかないと部分的に見失ってしまうかも知れないが、ストーリーの大筋は比較的シンプル。

かと言って、全てが説明されている訳でもなく、解釈は観客に委ねられている部分も多い。
一筋縄ではいかんな、というのが率直な印象の映画。
でも、観て良かった。

まず、美術や衣装が素晴らしい。これ見るだけでも価値がある。
そして、それを効果的に見せるカメラ。また、広角レンズで捉えた映像はただでさえ情報量が多いのに加えて、カットを割らずにカメラを180度横に振って別々のシーンが1カットに構成されていたりするので、まるでかぶりつきの席で舞台を観ている感覚にも似ている。

ほぼすべての登場人物は自分のエゴのために行動し、そのぶつかり合い・足の引っ張り合いが、時にコミカルに、時に皮肉たっぷりに描かれる。
しかし、そうして手に入れた地位にも、やはり責任と同時に苦しみや憎しみ、自分を利用しようとする敵や味方が存在するという「堂々巡り」。

目指した場所、手に入れた場所、そこに本当に幸せはあるのか。

序盤はエマ・ストーン演ずる主人公アビゲイルの下剋上を応援していた我々観客も、後半では苦々しく彼女を見守るようになり、最後はキャストの全員が哀れにさえ見えてくるという、なかなか悲痛な映画なのだが、もしアビゲイルを彼女以外の女優が演じていたら、さらに陰湿な感じになってしまったかも。そういう意味でこのキャスティングは正解だった気がする。

そして女王役のオリヴィア・コールマンの名演。インタビューの姿と比べると特にその凄さがわかる。

観賞後、
「世界の全ては女性が動かしているのです。」

そんな気にさせられる映画。
だって、ここに出てくる男達のだらしなさ・軽薄さときたら…

追記:
女王が鎧のような物を着けるシーン(これは何のシーンだったんでしょう?)で流れるパイプオルガンの曲って、『カリオストロの城』でクラリスと伯爵の結婚式で流れる曲ですよね?

キレンジャー