「優しさと非情さを併せ持つ男の生き様」イコライザー2 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさと非情さを併せ持つ男の生き様
デンゼル・ワシントンの存在感が際立っている。優しさと非情さを併せ持つ主人公を演じるとしたら彼以外の適任者はいないだろう。殺伐としたアクション映画になっていないのは、彼の佇まいが主人公の人間としての奥深さを醸し出しているからだろう。
本作は、悪を裁く元CIAエージェントの活躍を描く第2弾。タクシードライバーとして働く主人公・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、弱者を救う為、非情な裁きで悪党たちを葬っていた。CIA時代の上司であり親友でもあるスーザン(メリッサ・レオ)が殺されたことを知り、彼は、独自の捜査で犯人に迫っていく・・・。
報酬を求めず私的に悪党たちを容赦なく裁いていく主人公。彼の姿は、強引で一方的な正義を振りかざす男として捉えられそうだが、そういう感じはしない。それは、主人公を演じるデンゼル・ワシントンの演技力が卓越しているからである。
主人公の弱者に向けられる眼差しは、優しく自然であるが力強い。悪に対する激しい感情を抑え、深い悲しみを感じさせるデンゼル・ワシントンの佇まいが秀逸である。主人公の壮絶な過去が垣間見える。主人公の優しさは、タクシーの乗客を始めとして彼に関わる全ての人々に注がれる。この部分だけ切り取っても、人間ドラマとして一つの作品が出来るだろう。
対照的に、悪への裁きは冷酷非情であり情け容赦はない。主人公の眼差しも鋭く隙のないものになる。演じるデンゼル・ワシントンの身のこなしは、素早く無駄がなく60歳代という年齢を感じさせない。
意外にアクションシーンは少ない作品だが、印象的なシーンが多い。何と言ってもハイライトは、ラストシーン。このシーンは、主人公の生き様を集約したものであり、大仕掛けではなく、シンプルだが迫力ある展開に圧倒される。
本作は、非情なアクションと心温まる人間ドラマを融合した作品であり、主人公役のベンゼル・ワシントンの演者としての力量が実感できる良作である。