「いろいろ思ったこと」イコライザー2 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろ思ったこと
デンゼルの映画で、意外にも続編がなかったということで。前作の痛快な処刑人っぷりに快哉を叫んだ一人としてはうれしい限り。逆になんで続編がないのか考えればすぐわかりそうなものだ。
まず、彼の出演作は主役の時は死ぬ役が多い。当然映画会社からすれば、ヒットした時のために続編を作れる可能性を残しておきたいだろうけど、そうならないのは期待値が低いのか、本人が望まないのかのどちらかじゃないだろうか。
待機中のオファーを実現するのに、一つの役にこだわっているより、次の映画の準備に取り掛かることを優先してきたのだろう。演技派と言われる俳優たちは、意外なほどシリーズを抱えていないものだ。モーガン・フリーマン然り、デ・ニーロ然り。食べていくのに困らない状態であれば、より興味をそそる挑戦を選ぶはずだ。そんなデンゼルが続編に取り組んだのだから、あまたの失敗例を当然クリアしてくるであろう。こんな風に期待して劇場に運んだ。
残念ながら、前作で救われたクロエ・モレッツは続投せず。というより、あの後どうなったか、みたいな描写はほとんど無い。それどころか、今どうして彼がタクシー(というよりフリー配車アプリ)に乗っているのか、あのホームセンターがどうなったか、などの説明もない。
いわゆる続編らしさ、の要素があまりないのだ。
彼の「裏の顔」の性質上、出来るだけ親しい付き合いを避ける生き方を強いられる。なぜなら、友達を作ればそれが弱みになることを知っているからだ。でも相変わらず密かに人助けをやめられないようで、近所の書店が閉店するはずだったのを本人に知られないまま救済していたりする。その本屋の小さな娘だけはデンゼルの正体に気づいているようだったが、「ないしょ」というジェスチャーでアイコンタクトを送っていた。
世の中が少しでも良くなる方向に進むよう、彼なりの正義を貫く姿は変わっていない。そんなデンゼルの仲間と言えば、昔の組織の人間たち。今回は、その暗殺者の集団と闘うことになる。お互いに「殺し」のスキルを持つ者同士のど迫力バトルが展開される。
今回も不幸な身の上で苦しむ若者に救いの手を差し伸べるシーンがあるが、厳しくも優しい言葉に、胸が熱くなる美しい交流だ。その結果、若者はデンゼルの戦いに巻きこまれることになるのだが、果たして彼を救えるのか、映画としての見せ場は後半にどんどん盛り上がっていく。
雑感として、この映画には、「多様性」とか「チャイナ枠」みたいなキャスティングが働かなかったようだ。思うに、キャスティングにおいて必要以上に女性を登用したり、ボスが女性だったり、ゲイのパートナーと同居していたりなどの進歩的な設定はアクションスリラーとは相性が悪いようだ。
2018.10.9