「わだかまり」泣くな赤鬼 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
わだかまり
自分が死んでいくその日に何を思うのだろうか…?
未練とか…あるんだろうなぁ。
取り返しのつかない事って、実は死にさえしなけれりゃ取り返しがつくんじゃないかと思える。
作品自体は浅いわけではないけど、深くもないと思う。後悔先に立たずの一例か。
ただ、まあ、ホントに面倒くさいと思うのは時間は戻らないという事だ。
その時々に最良の選択を間違わずに行える人生などあるはずもなく、心残りも後悔もない訳がない。何をウジウジとやってるのか、と。
なんかこう…奇跡的にわだかまりを解消できたみたいな展開。
その裏には、関係者達が10数年引きずってたっていう時間があるのだけれども。
色々と同情してしまう脚本であった。
そんな中でも刮目せざるをえなかったのが、柳楽優弥だ。
なんだ、あの絶妙な距離感わ!
彼の仕草の一つ一つに遠慮とか、取り返せない時間とか、中退してから今までの想いとかギッシリ詰まってる。
なんちゅう繊細な芝居や!
自分の死に直面するっていう役所ではあるものの、台詞の裏側を明確に感じたのは彼が最初かもしれないと思う程鮮烈だった。
最期に彼が赤鬼に送ったサインは
「思いっきりやれ」って事なんじゃなかろうか…。
地味な作品ではあるけれど、本年度のアカデミー主演男優賞を柳楽氏に捧げたい。
ん?助演になんのか?
いやいや、俺的には主演やな。
ええもん観せてもろた。
脚本は好きではないけど柳楽氏は絶品だった。
その他にも指導者としての心構えとか再確認させてもらえたかなぁ。
生徒や若者たちよりも、真剣に一生懸命に、事に当たらねばと思う。