「熱量が低く、緻密さに欠ける。」泣くな赤鬼 MOJAさんの映画レビュー(感想・評価)
熱量が低く、緻密さに欠ける。
柳楽優弥、堤真一の演技は最高でした。
原作重松清という事で期待して行きましたが、それを元にした脚本、演出がイマイチでした。
とにかくそれぞれのシーンが中途半端で浅く、末期ガンに苦しむシーン、それに伴う家族の葛藤etc.がどこも撫でるようにしか描かれていないので、正直感情移入しにくかったです。
命をかけてグラウンドに行く朝、おにぎりを義母とあんなに和気あいあいと作るかなぁ、、。
ゴルゴの奥さん(川栄奈々)は赤鬼とほぼ初対面なのに、「お見舞いにいってあげてよ!」とまるで自分の担任のようなタメ口も失礼で違和感が。
和田君がグラウンドに来るには偶然過ぎる。もし前もって赤鬼が伝えてたなら、(来たか..)的な赤鬼の表情を差し込まないと状況が理解出来ず不自然。
そしてグラウンドのノックシーンの柳楽君が結構あっさりと取り過ぎ。
「最後に子供に見せたい!」と言ってたのに、子供いない。将来見せる為のビデオも誰も撮ってない。
そして和田君に早く変わり過ぎ。
あと結構時間経ってるのに、和田君赤鬼を恨み過ぎ。
赤鬼が変わった理由も漠然としてて明確に分からない。
とにかく熱いスポ根を見せたいのか、それぞれの心の細やかな葛藤を見せたいのか、どっちも描き方が浅く中途半端なので、こちらは泣く気満々なのに、殆ど泣けませんでした。
そしてどのシーンもイマイチ熱量が低いので、この監督、野球やった事あんのかな?甲子園とか好き?と思ってしまいました。
ベクトルは違えど園子温の熱さと、是枝裕和の緻密な演出をもう少し見習って欲しいとさえ思ってしまいました。
しかし、柳楽優弥の演技は素晴らしかったし、堤真一の最後の帽子の奥の表情は超一級品で感動しました。そして竹原ピストルの曲も本当に素晴らしかった。
ので、なんか惜しいんだよなぁ、もっと良く作れるよなぁ、という映画でした。