「事実は小説より奇なり運命なり!」マチネの終わりに トコトコとことさんの映画レビュー(感想・評価)
事実は小説より奇なり運命なり!
原作の小説は、事実をもとにしてプライバシーに配慮して架空の設定で描かれているそうです。
フィクションも含むとはいえ、なんてすごい運命なんでしょう。
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冒頭の数分が本当に素晴らしいと思います。
人付き合いが面倒で小難しそうな蒔野が、初対面の洋子に心をひらいていくかのような変化。洋子はずっと前から蒔野のことを知っているが、蒔野はただの尊敬している憧れのギタリスト。その二人の様子を見てただならぬ空気を感じたマネージャーの三谷。
他の人のレビューで、三谷が洋子の邪魔をするほど蒔野を好きかだなんてわからなかったとあるのを見ましたが、十分散りばめられていたと思います。
レコード会社との打ち合わせで「蒔野が、蒔野のために、蒔野は…!」どれだけ必死やねん笑、単なる仕事のパートナーではない感情がのってたし、バーで蒔野と洋子の間に割って入ったこと、方言トークで蒔野に会話に加わらないようにしたこと。思い出すのはそのくらいですが、十分伝わってきました。
ストーリーの展開も素晴らしかったです。
20年来の恋人でフィアンセのことは、多分もとからあまり愛情はなかったのかもしれません。40 歳前後という自分の年齢、社会人として立派である彼氏、自分のことをよく知っているであろう彼氏。彼氏は仕事人間で自分の仕事の出来を話すばかりだから、心からの愛情を感じるには足りなかったのかもしれません。
そこに、蒔野と会うのはたった2回だったとしても、自分の心を穏やかにしてくれる、不安なときに寄り添ってくれる、遠いのに包み込んでくれるような愛情を与えてくれる(恋人ではなくても)ところに、惹かれてしまうのは仕方のないことだったのかもしれません。
早苗のしわざによりすれ違った二人。
2019年はラインの過去のトークはスマホが新しくなったら引き継げなかった時代だったのかな。ラインの僅かなやり取りだけで自分の心を塞いでしまう。それ以上詮索しないのは、大人だからなのか…
早苗の告白ラインを見た蒔野、台所での演技は圧巻でした。
コップを割ったかと思いきや割ってなかった…ちょっと見てて紛らわしかったです
なんで早苗と離婚しないのか疑問だったけど、他の人の検証ブログで「蒔野は子供を愛しているから、今の幸せを壊したくないのではないか」になるほど〜と思いました。(とはいえ、早苗を憎くないのか??よく、普通に接していられるね?!)
私は、二人がセントラルパークで再開したあと結ばれるんだろうと思ってましたが、先のブログの方はこう考えていました「蒔野も洋子も自分の子供を愛している。子供を大切に思うので、自分たちが結ばれる選択はできない。お互いに、心で強く結ばれ愛し合っていることを確認できたことで、それぞれの場所に戻って生活しているだろう」とあって、とことん大人だなぁ、と思ったのでした。
とても素敵な映画でした。