劇場公開日 2019年11月1日

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「文学的で叙情的な切ないすれ違い」マチネの終わりに 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5文学的で叙情的な切ないすれ違い

2019年11月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

お恥ずかしながら平野啓一郎の小説を読んだことがないが、とても素敵なんだろうね。詳しいわけではないが、第二の辻仁成って感じだろうか。
そのためすごく文学的で言葉ひとつひとつが叙情的で感傷に浸ってしまう。こんなにも切ないすれ違いがあっていいものか。本当に心から好きであればもっと強引にでも行動に移すのではないかとも思ってしまうが、大人な繊細な恋愛とはこういうものか。

本作のキーマンは桜井ユキ演じる三谷早苗。最近引っ張りだこで一気に頭角を表してきた女優のひとりだと思う。
自分だったら三谷早苗には絶対なりたくない。こんな十字架を背負ったまま幸せを求めて生きていくなんて苦しすぎる。
でも本当に信じられる大切なものを守るためには必要な嘘なのかもしれない。

そしてキーフレーズとなるのが、「人はみな未来しか変えられないと思っている。しかし未来によって過去の思い出は塗り替えられていく」。これは救いなのか残酷なのか…

じんわり胸を締め受けられる作品。

もの語りたがり屋