海獣の子供のレビュー・感想・評価
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美術館の絵画を頭の中に流し込まれる
感想走り書きメモ
面白かった。
とにかく目が離せない。
描写の一つ一つが美しい。
圧倒的な作画力。
美術館の絵画を頭の中に流し込まれてるような刺激的で美しい画面が続いていた。
陸は現実的
海は抽象的
といった表現をしているようだった。
陸の方が見ていて安心するし疲れない。
海はとにかく疲れる、今何を表現しているのか?何が起きているのか?何を考えているの?何を伝えたいの?どう感じるのが正解?
ととにかく頭をフル回転させられる。
この抽象的な表現が苦手な人もいるようで、好き嫌いが分かれるかもしれない。
空は宇宙であり、隕石を手放し海に還った時に星のように死んだ。
海は、生命の誕生である海で、隕石を口にして生命体となった。
この対比が美しかった。
彼らが人間かどうかなんて瑣末な問題だった。
空が死ぬ前に宇宙の話をしていたので、星の死と理解しやすく、また海の誕生の前に子宮?と思われる空間にいたので誕生と捉え安かった。
空と海で生命の神秘を感じさせられる。
琉花の存在意義はまだはっきりと言葉にできない。
母として?
「守らなきゃ」と思わせるそこに母性があった。
けれど空と海のいない彼女は友達と家族のことに心を惑わされているふつうの、ちょっと難しい思春期の女の子。
人間としての日常の問題と、生命のあり方の対比が大きすぎたように感じる。
くじらの中で、くじらのうたを聞く瞬間に叫ぶ琉花の様子が何かに似てると思ったら、鋼の錬金術師でエドが真理を見た瞬間だった。
似てる。
広大で限りのない世界、宇宙の全てを強制的に脳に流し込まれてるような。
祭りとは?まだここに関して熟考したい。
まだまだ深められるので何度でも見返したい。
何だこりゃ???
完全な意味不明
いろいろ映画を見ますが、本当に意味不明。ヱヴァンゲリヲンの最終話を2時間観てる感じ。
宇宙とか精神世界なのか分かりませんが、何か意味化があるのかと頑張って観たけど、本当に辛かった。
アニメ作品なので、子供たちも結構いましたが、よく2時間座ってられると感心しました。
良かったのは、
・米津玄師の歌が聞けたこと
・芦田愛菜が声優でも優秀ということ
・クジラや亀などの生物の映像がきれい
・海や宇宙の映像がきれい
原作を知らないので分かりませんが、こんなに難しい話なのでしょうか。
また、声優使わずに、俳優さんののっぺりとした話口調も嫌い。それぞれの俳優さんは好きですけど。
普段は意味不明な所はネットでネタバレを読みますが、これはそんなきもちにもなれないほど、完全な意味不明。
ものすごい映像で魅せる「生命」の物語
後味爽やか
感情移入ができない!
ストーリー・キャラクターともによかったのですが、各キャラクターの説明不足により感情移入ができず、ややこしさだけしか印象が残りませんでした。芦田愛菜の声優としての力量・背景…海のキレイさが、目を引きました。
なんてレビューのしづらいアニメだろう
感じるところが色々とありました
ファンタジーのようなSF
圧倒的な説得力を伴った海中描写。これでもかと繰り出される美麗な生物の群れ。前半部分だけで海洋生物オタクとしてはだいぶ満足してしまった感があるが……もちろんそれだけで終わるはずがないのが本作「海獣の子供」です。
一見するとファンタジーのような、全海洋生物たちが一つの意思を持ったかのような異常な行動。だが、それが異常だと思うのは、狭い人間の視野だからであり……そこに実は、確固たる理由があったとしたら。琉花は空と海に出会い、その理由を感じ取っていく。全ては一つの、一度きりの<誕生祭>のための、確かな前兆だった。
果たして、私たちはどこから来て、どこに行くのか。111分の映画で、宇宙の謎がばらりと解き明かされる様は、呆然としてしまうほど。異論はあるだろうが、理解が及ぶ範囲だけが映画ではない。理解が及ばなくてもいい。海を感じ、宇宙を感じる。そんな映画を、一生に一度は見て欲しい。
この作品の1番大事なところは、あえて分からないように作られている。
結論でルカが「1番大切なことは言葉では伝えない」と言うところが、この物語の最も重要な鍵を握っている。
観た人の99.9%は、「鯨に飲み込まれた辺りから『意味不明』になる」と思う。
でも、それで良いのだというのが、この作品だと思う。
重要なのは、ルカが鯨に飲み込まれた後に体験する「何か」であり、それは表現することができないと、言い切っているのだから、観る人たちは「感じとる」しかできない、というのが主張なのだと思う。
もちろん、頑張れば解釈の仕方も出てくるのだが、私としては作者は、宇宙の一部である私たちは「そのあなたで良い(老婆の言葉)」というメッセージを伝えたかったのだろうと思う。
ラストシーンでは、ずっと心を閉ざしていた人との和解が印象的だが、恐らく「『何か』という体験」を通して、ルカは「自分は全ての存在と繋がっているんだ」という「実感」を得ることができたのだと思う。
ゆえに、最後に相手を許せた。
なぜなら、相手も自分と繋がった宇宙の一部だって思えたから。
宗教的な考えには「世界樹(イグドラシル)」というものが出てくるのだが、これは多次元宇宙は神仏という大樹から分かれ出てきた幹や枝が現象として現れており、「私たちはその先にある葉っぱの一枚一枚なのだ。ゆえに隣の葉っぱを傷つけたりすることは、自分自身を傷つけているのと同じなんだ。だから愛し合いなさい」という思想がある。この世界の一端を、船の帆が風の一部を感じとるように、私たちもまたそうした宗教的な思想から、この世界の一端を感じ取ることができる。
作者は、そうした世界の不思議や疑問を様々な思想から選び抜いて、ルカやソラ、ウミ、老婆の言葉を通して「表現はできないけど、大切な宇宙の普遍的なルールが世界を支配しているんだ。だから人間は謙虚でなければいけないよ。この世界のことを全て知った気になって傲慢になってはいけない。ほら、私の作ったこの作品ですら理解不能じゃないか。」という、人間の無知さを真正面からぶつけてくれたのかも知れない。 実際に言葉では伝えきれない感情なんて山ほどある。
また、「人はどこから来て、どこへ行くのか」という命題もこの作品ではつねに問いかけられている。
この作品では明確に答えてはくれていないが、恐らく仏教の「転生輪廻(輪廻転生)」の思想からだと思う。
人は永遠の生命を持っていて、何度もあの世とこの世を生まれ変わりながら、経験を積んでいく存在なのだという思想だ。
作品としては、そうした生まれ変わりの思想を匂わせながらも、実際は「何か」という体験(神秘体験とでも言おうか)を通して、人は新生できるという希望を乗せてくれているのかも知れない。
例えば、サウロ(後の聖パウロ)はキリスト教を迫害し、弟子たちを次々に処刑していたが、道中すさまじい光で目が見えなくなった。町に入ると、イエスの弟子の一人が、サウロの目を神秘的な力で治すという
奇跡を経験して、それからというもの今までの人生をひっくり返すがごとく、熱烈なキリスト教の伝道師へと新生したのだ。(ダマスコの回心)
このように、人は神秘的な経験を通して人生を大転回することがあるのだ。
また最後にソラとウミの解釈は、私は仏教の「空海」を元に考えているものと思う。
鯨に飲み込まれた後のシーンで、宇宙大にルカの体が広がっていたが、あれは空海の体験を表していると思われる。
幽体離脱をして、自分自身の魂が宇宙大に広がり、明けの明星が巨大になった空海の口に入って来たという神秘的な体験だ。
その宇宙大に広がった自分が見た空と海のイメージをもとに、「空海」と名乗るようになったと言われている。
とにもかくにも、言葉で表そうと頑張れば頑張るほど、お経を読み上げてるような感じになり、より理解は難しい。
だから、映画では理解しようとするのではなく、自分には理解できない世界が厳然として存在してて、その世界のなかで互いに生かし生かされて人生を歩んでいるんだ。ということを感じ取れたら、この映画を観た意味もあるのではないかと思う。
ただ綺麗な映像を眺めるだけの「花火映画」
物語の基本的な骨格がしっかりしてない。ヒロインの行動の動機や目的があやふやで感情移入し難い。
キャラクターに感情移入しにくいし物語として成立してないから、ただ派手な映像を眺めてるだけ「花火」を見上げてるだけの感覚に陥る。没入感が全く持てない。
なんとなく「深遠なテーマ」らしきものを醸し出しているんだが、観衆に理解させる表現力が不足してて、なんだか意味不明な宗教映像を見せられてる気分になる。
庵野秀明作品等は、裏に深遠なテーマが隠されていても、表には普遍的かつ王道的な人間ドラマがしっかり構築されていて、「深遠なテーマ」が理解できなくても十分鑑賞に耐えられるし、それ故に語り合いたい考察したいって欲求も湧き上がるのだが、この映画は表層部分の人間ドラマが描写不足で、終盤の宗教映像(?)に無駄に時間と労力のリソースを取られてて不十分になってる。
ともあれ、綺麗な映像を鑑賞したいって人だけ見に行けばいいと思います。私の好みではないけどね。
原作を読みたくなる映画
圧倒的に美しく幻想的
考えるな!感じろ! いつか4DXで観てみたいね
よく頑張った!と褒めるべきなのだろう。
「リトル・フォレスト」、「魔女」など大自然をテーマにする漫画家・五十嵐大介の長編漫画のアニメ化。
五十嵐の圧倒的な画力による勢いを、アニメ化で殺すことなく、ダイナミックに再現しようとしている。その挑戦的な姿勢は観るに値する。
米津玄師の主題歌つながりの観客にも、"何がなんだかわからない"であろう、壮大な大自然の神秘のようなテーマは、"わからない"ということが伝わっていれば、正解とすべき。
原作は、"民俗学"や"天文学"や"海洋学"が混沌と並べられた、映画よりももっと考えさせられる内容で、読者自身のバックグラウンドによって知的にイマジネーションする作品だからだ。
水族館で働く父親を持つ、中学生の琉花(CV:芦田愛菜)は、まっすぐな性格すぎて、コミュニケーションの苦手な少女。家族も似たところがあり、ギクシャクしている。
琉花は、夏休みが始まったばかりのハンドボール部の部活でトラブルを起こしてしまい、学校での居場所を失う。
期せずして、"長い長い夏休み"が始まってしまった琉花は、父親の働く水族館で、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海(CV:石橋陽彩)に出会う。海には、一緒に育った兄・空(CV:浦上晟周)がいた。
夏休みに起きる琉花の不思議体験は、現実とファンタジーが普通に共存している設定の世界観で、考えれば考えるほど弾き返される。
少年・海と空は、ジュゴン(人魚姫のモデル)に育てられたという、"自然と人間の中間"にアイコニックに存在する。
そんな少年と触れあい、さまざまな体験をする琉花は、人間社会でのディスコミュニケーション(相互不理解)にぶつかっている少女。
言葉を持つ、人間同士さえわかり会えるのは難しいのに、自然や動物とコミュニケーションするということは、どれほど無限で未知なのか・・・。
さらに映画という尺の都合で、学術的な情報はことごとく端折っている。考えるな!感じろ!とでも言っているような作品だ。
これはこれで原作に対するひとつの解釈だろう。米津玄師も"海の幽霊"と、モヤッとオブラートに包んでしまったようだし。
ちなみに少年・海のCVがディズニー映画「リメンバー・ミー」(2018)の主人公ミゲルを演じた石橋陽彩というところが注目。声変わりしたのかどうかが気になる。
身体で感じるアニメという意味では、この大画面映像に、ぜひ4DX版チューニングしてもらいたい。水効果のないMX4D版は止めてね・・・あっ!TOHOアニメだから無理か(笑)。 わかるかな?
(2019/6/8/TOHOシネマズ上野/シネスコ)
ボーイミーツガールだと思って行くと理解できない
まず、宇宙の起源、生命の起源にまったく興味がなく、知識も皆無な人は無理。SFアニメでもスペースオペラ系やロボット系ではなく神話系サイエンスフィクション系が好きな人じゃないと無理。
ストーリーはむしろ古いタイプのSFアニメ。なので20代前後の人は意外と分からないと思う。最近はこういうタイプのアニメはほとんどなくなったので、自分は懐かしさも感じた、特に後半。
「分からない」という意見や「理解せず感じろ」とかいうコメントをSNSで見かけるが、1970~80代前半のアニメはそういうアニメばかりだったし、それが当たり前で受け入れてきたから、逆に「ああ、今の世代はアニメを見ていても、知識と理解の範疇を超えるとダメなんだな」と思ったぐらい。
想像力を豊かにしてくれるアニメを見て育って良かったと改めて思う。調べたら作者も同年代だった。「ああ、やっぱりね」と映画から感じた既視感で納得した。
没頭した
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