ヒトラーと戦った22日間のレビュー・感想・評価
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従来のホロコースト映画とはやや異なる余韻を残す
本作はホロコーストを扱った映画としては極めて異色といえるのかもしれない。なぜなら、これは絶望的な状況を耐え忍ぶだけでは終わらず、その向こう側に衝撃的な「脱出劇」が待っているからだ。それも秘密裏に穴を掘って逃げるようなレベルのものではなく、全員を伴っての正面突破なのだから驚きだ。
ポーランド国内に位置する「ソビボル収容所」で実際に起こったこの事件は、絶滅収容所で起こった最大の反乱とも呼ばれ、同じホロコースト映画である『シンドラーのリスト』や近年大きな話題となった『サウルの息子』などとも違った印象を残すところがある。
また、数多くの登場人物の顔を一人一人印象深く捉える手腕には感銘を受けるし、蓄積されてきたものが一気に溢れ出すクライマックスには一本の映画としても非常に胸を掴まれるものがあった。これがロシアで製作された映画というのも、物語への光の差し込ませ方や語り口が独特に思える一因だろうか。
日本の映画配給会社はナチスドイツとヒトラーを同一視している
ロシア映画で、ミンスクの出来事を語っている。つまり、このソビボル収容はベラルーシとウクライナ国境に近いポーランドの街。400人中150人は地元民が捉え、ナチスドイツへ引き渡すか殺した。と最後の場面で文字として語っている。つまり、『ポーランド人かウクライナ人が捉え殺戮した』としている。歴史的に事実であろうとは思うが、なぜこのタイミングでそんな話が出てくるかである。
つまり、この脱走劇は歴史的史実であっても、事変の詳細や経緯は全くのフィクションと思われる。
ナチス・ドイツの人道を大きく欠けた行為が、実際にこの通りあったとは思えないし、そこの責任者だった所長が戦後長く生き残る事になった理由もはっきりしていない。
つまり、これだけの人数の脱走劇が展開されたとすれば、ナチスドイツの中にも協力者がいたのではないかと僕は感じる。
その真実が知りたい。この映画ではただリベンジ劇を見ている気分しか残らない。
オシフィエンチムに行くと最後に『焼き場』を見る事になる。やはり、収容所からは隔離された場所だと感じた。いくらナチスに狂わされた冷酷無比なドイツ人達と言えど、ふざけ半分で殺戮を繰り返すとはどうしても考えにくい。
そう、考えるとこの映画が、サンクトペテルブルク(レニングラード)出身のロシア人の演出家による演出だと理解出来る。
サンクトペテルブルクと言えば、対ドイツでロシアの最大の悲劇の地と言える。
ユダヤ系ウクライナ人監督セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の
『戦艦ポチョムキン』を見るとよく分かる。
🌀一言で心内『本当に同じ人間なのか⁉️』 ★彡集団心理は恐
ヒトラーと戦った22日間
1943年🇵🇱ポーランドのソビボル村
※ドイツの戦場が悪化やや施設が弱ってきた頃。
ソビボル村に連れてこられたユダヤ人達。
ガス室で殺される事も知らない女性や子供達。
手に職のある残った人達は死よりキツイ奴隷以下家畜以下の扱いで、軍人の気分で殺されていく。
残されたユダヤ人達の運命は!
実話ベースの強制収容所での実態を映画化!
🌀一言で心内『本当に同じ人間なのか⁉️』
★彡集団心理は恐ろしい。
◉73D点。
★彡同じ人間なのにユダヤ人の恋人がいたナチスさえユダヤ人を虐殺してしまう心理は計り知れない。
🟢感想。
1️⃣同じ人間とは思えない仕打ちに憤り。
★彡エゲツない職場
2️⃣一日中死体を処理した煙が印象的。
★彡常に白い蒸気や白い煙。
3️⃣看守の気分で殺される人達。
★彡死んだ方が楽にも思えてくるくらい恐怖生活。精神が病んでしまいそう。
4️⃣奪われる貴重品も描かれている。
★彡あまりここまで描かれてなくて新鮮でした。
5️⃣今まではヒトラーを描いた作品がおおかったが最近はヒトラーの命令で動いた施設の話や二番手など上官を描いた作品が増えてきて更なる伝記が判り良かったです。
🫣🫥🤮👁️🤦🏻🐴🪿💥🌫️🎻🚂🏭🩸🚿🆘🚷🛃🛂📢
うん、見た、
この映画そのものの感想ではないけど、実際に過去にこういうことがあった、というのが、まさしく非人道的でハラたつやら悲しくなるやら、という気持ちになる。
最後、やたらスローモーションになる時間が長くてイライラもしたけど。
ロシア版大脱走映画だが、爽快感は無く、ナチス将校一人一人の念入りな仕置が印象に残った
コンスタンチン・ハベンスキー 監督・脚本・主演による2018年製作(118分)のロシア・ドイツ・リトアニア・ポーランド合作映画。原題:Sobibor、配給:ファインフィルムズ。
舞台となるソビボル強制収容所はナチス・ドイツがポーランド東部ソビボル村においた強制収容所でユダヤ人絶滅を目的とした三大絶滅収容所の一つ(約20万人から30万人の人々がここで殺害されたらしい)。ここに収容されたソ連軍人アレクサンドル・ペチェルスキー(ハベンスキー)が主人公。
冒頭、列車から大勢のユダヤ人が降りてくる。その中で一際目立つ美人が宝石技師の妻ハンナ(ミハリナ・オルシャンスカ: 主演作も多いポーランドの女優、歌手、作家)。彼女がこの映画のヒロインかと思ったのだが、消毒と言われ裸となった大勢の女性たちと一緒に、ガス室の中であっさりと死んでしまう。エー!という意外性が大で、ナチスの残酷性が強く印象つけられた。とても勿体無い女優の使い方という気もしたが、上手い演出でもあった。
馬の様に将校乗せた台車を走らせられる等、ナチス将校たちのユダヤ人(宝石や皮製品への特殊技能や強制労働のため生き残された)への扱いの酷さが、強調されていた。これが、後の方のナチス将校一人一人を誘き寄せての始末に繋がる。たっぷりと時間をかけてねっとりとした殺しが描かれており、ロシア版の必殺仕置人の様であった。
主人公と相思相愛の女性ルカ(フェリス・ヤンケリ)が、特別な技能がある様にも見えず、ナチス将校の愛人でも無いようで、収容所内を自由に行動できている理由が分からず仕舞いで、その点では脚本に納得ができなかった。
最後、大脱走後の歴史的な事実が語られる。現実には、多くが生き残れなかった様で、この脱走劇が史実であったことを改めて思い出させられる。
監督コンスタンチン・ハベンスキー、製作エルミラ・アイヌローバ グレブ・フィティソフ マリヤ・ズロムスカヤ、製作総指揮マリヤ・ミカイローバ、原作イリヤ・ワシリエフ、脚本
コンスタンチン・ハベンスキー、 アレクサンドル・アダバシヤーン、 アンナ・チェルナコワ、 アンドレイ・ナザロフ、撮影ラムナス・グレイチウス、編集ユーリー・トロヤンキン、音楽クズマ・ボドローブ。
出演
コンスタンチン・ハベンスキーアレクサンドル・ペチェルスキー、クリストファー・ランバートフレンツェル、フェリス・ヤンケリルカ、ダイニュス・カズラウスカスレオ、マリア・コジェーブニコワセルマ、セルゲイ・ゴージンアルカジイ・バイスパピル、ロマーン・アゲエフボリス・ツィブリスキー、ゲラ・メスヒセミョン・ローゼンフェルド、ミハリナ・オルシャンスカハンナ、イワン・ズロビンシュロモ、ファビアン・コチェンツキハイム、ウォルフガング・キャニーグスタフ・ワーグナー、カツペル・オルシェフスキトマス。
見て損はしない。
実際にあった話しです。
この映画に出会えて良かった。悲惨な状況も中でも勇敢に戦った人達がいた事、生きる事を諦めなかった人達がいた事。
その事を知る事が出来て良かった。
この映画から勇気をもらいました。
悲しい過去の現実を決して忘れません。
皆に見て欲しい映画です。
【”ソビボルへようこそ。新しい生活が始まります・・。”というアナウンスが流れる中、職人以外の捕虜たちは”消毒”されていった・・。】
ー 今作を鑑賞するまで、忌まわしきアウシュビッツ、トレブリンカ、ベウゼツ絶滅収容所と並ぶソビボル絶滅収容所で1943年に起こった出来事は知らなかった。
実話ベースだが、イロイロと気になる点があった作品である・・。ー
◆気になった点
・一番気になってしまった点は、捕虜の女性達が”消毒”されるシーンである。映画界のモラルとして、絶滅収容所でのガス室のシーンを”ピントを暈さずに”描くのはタブーではなかったか・・。
・次に、脱出を指揮したのが、ソ連の軍人だったこと。彼を演じたのが、ロシアの国民的俳優のコンスタンチン・ハベンスキーである事。彼は、今作では監督・脚本も担当している。
・これは、歴史の哀しき出来事を描きながらも、ロシアの国威発揚映画になってはいないか。劇中、脱出を画策したメインキャラクターの一人が言った言葉。
”スターリンの心を持っているのさ”
ー オイオイ、スターリンは、ホロドモールなどを指揮した、ヒトラーと並ぶ虐殺者だぞ・・。ー
<映画としては、知らなかった史実が描かれており、(残虐なシーンが多いのは気にはなったが戦争映画なのであるから、そこは仕方がない。)勉強になったし、第二次世界大戦のナチスへの復讐映画としてのクオリティは高いと思う。
だが、記したように、”ロシアの国威発揚映画ではないか”、と思ってしまった作品。
フライヤーによると、今作はロシア国内では「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」に次ぎ、初登場2位を記録し、大ヒットを記録したそうである・・。>
序盤に、、、
序盤で重要そうな役の人がどんどんと死んでいったのはびっくりしました。
実話ベースということですが、こんな事件があったのは驚きでした。
脱走に至る過程はハラハラドキドキしました。
ヒトラーは、ギャラ交渉の際で出演せず?
あれっ????ヒトラーが出てこない。
あまりにも惨すぎだろっ、あまりにも残虐すぎでしょっ
ナチスの悪行の数々、それをオンパレードで見せられても。
監督・主役・脚本全て一人でやるのは無理がありすぎる。
何が言いたかったのか?「映画」という媒体を使用するべきであったのか。収容所がロシアの反撃で解体せざるを得ない「焦り」は、感じ取れた気もする。
う~ん?戦争は駄目よ…物としては、「ハクソーリッジ」「ヒトラーの忘れもの」「サウルの息子」には全く及ばない。
ラスト30分が凄絶なロシア版「大脱走」
光と影のコントラストが際立つ渋い映像美が素晴らしいです。その分、ユダヤ人の凄惨な状況と、ナチの蛮行がリアルに強調され、ラストのナチ士官殺害と脱走へのカタルシスにつながるんだけど、あくまでも淡々と描く監督の手腕がすごいと思いました。
とても良い
ヒトラーとか名前使わなきゃいいのに、日本の配給はもうちょっと考えてほしい
強制収容所ものとしては良く出来ている
途中のユダヤ人の扱いは当然逃げるためのフラグなんだけどなかなかに目を背けたくなるかもしれない。
是非見てほしい
☆☆☆☆ とてつもない力作。 毎年の様にドイツでは、ナチス物の作品...
☆☆☆☆
とてつもない力作。
毎年の様にドイツでは、ナチス物の作品が製作されており、日本でも何本か公開されています。
その中に於いても、この作品は。ナチス物でありながら作品構造は、《耐えに耐えて、最後に怒りが爆発》とゆう。或る意味、健さん主演の任侠映画に近い様式が有り。日本人にも馴染みやすいのでは?と思います。
「健さん映画?観たこと無いしなあ〜…」って人には、或る意味半沢直樹系です!…って言えば。もしかしたら興味を持って貰えるかも。
しかし、間違いなく面白く。観ていて終始スクリーンに釘付けになりましたが。内容が内容だけに、声を大にして面白い…とは言い辛い面が(ー ー;)
スクリーンを見つめ「ひょっとして…」と思いながらの鑑賞でしたが。やはり実話に基づく話でしたか。この話は初めて知りました。
極々一般人のユダヤ人捕虜達が遭遇する、地獄の様な収容所生活。やがて湧き上がる復讐の炎と脱走計画。
始めの内は、なかなか顔が判別し難い人物が数名居る為に、頭が少し混乱するかもしれませんね。
誰1人としてヒーローは存在せず。全員が明日をも知れない命。隣で跪いている仲間が、一瞬の内に虫けらの様に殺されて行く恐怖。
それだけに最後の最後に怒りをぶちまける姿に爽快感は…全く無いのよね〜(ノ_<)
この辺りは健さん映画とは真逆。
胸の中にチクチクっと針の様なモノが刺さって来るこのやるせなさ(_ _)
唯一、残念だったのが。題名にも有る日付けに対する概念。
作品中に2〜3回【◯日目】との字幕は有るものの。我々日本人にとっては。その◯日目の重要性が分かり辛いのは、致し方無いところでしょうか。
それでも、確実に観た人の心に残る作品で。現在(9/19)僅かに全国4館のみの上映の為に、敷居は高いですが。もしも観れる可能性の有る方は是非とも。
最後にアクション映画ファンに一言。
ドイツ人将校で、収容所の親衛隊曹長役には…。
おおおおおおおおおおおおおおおおお
♪───O(≧∇≦)O────♪
クリストファー《ハイランダー》ランバートだ〜!
元気か〜?元気だね!うんうん元気だね〜(^^)
まだまだ老け込むには早すぎる。
アクション俳優として、是非もう一度デカイ花火を打ち上げてくれ〜\(^o^)/
2018年9月19日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター2
しんどい
134本目。
ナチス関連でもロシア制作は初めてかな?
分かってはいるけど観てて、しんどい。
星で評価はしたくないんどけどね。
彼らの自由ってなんなんだろう。
抜けて自由、戦争終わって自由、虐殺した人を殺して自由、死んでからが自由、難しい。
映画ってのが観る側の救いかも知れないけど。
演じる役者、特にナチス側は心のバランスを保つのがしんどいんじゃないかと思う。
史実の重みを素直に受け止めたい
第二次大戦中ドイツ・ヒトラーがユダヤ人絶滅を目的にポーランドに設置したソビボル強制収容所での脱走劇を描く。日本では余り知られていない実話が下敷き。この収容所だけで20~30万人が殺害されたと言います(Wiki)ので想像を絶します。作品ではドイツ兵たちの囚人たちに対する横暴な振る舞いが延々と描かれます。囚人達が勇気を振り絞って脱走を決起するところがこの作品のお題なんでしょうけれど、私にはこちらの方が衝撃でした。本作にはドイツのプロダクションも製作に関わっていますし歴史考証も踏まえていると思いますが、ドイツの人達がこの作品を一体どのように受け止められているのか、とても気になりました。
一連のヒトラーモノで一番酷い内容だった
今まで、第二次世界大戦モノでヒトラー(ドイツ)モノを随分と見てきました。
ここ数年は年に数本は、この手のモノが作られ上映され、当時の私たちの知らない歴史など知る良いチャンスと映画の公開を楽しみにしていましたが、本作品、今まで見てきたこの手の作品の中で、一番胸糞の悪い思いをし、見ているこちらも恐怖を感じる作品でした。
映画はソビボル収容所で起きた22日間を描いているのですが、初めから終わりまでスッキリしません・・・・
映画の結末は、22日間で終わっていますが、その後の説明が流れその説明を読んでも、気持ちがげんなりするだけでした。
それ程、本作品、映画としては良く出来ていました。
当時のユダヤの方の恐怖や怒り、ドイツの方の卑劣さは、簡単に解釈は出来ません。
結局、地球上で一番のガンは、人間なんだと思いました。
マインドコントロールによる人道を忘れた人間、罪もない人の命が、卑劣な方法で奪えわれていく・・・
当時の事を考えても、これが本当に現実に起こった事だと信じたくないとも思いました。
不謹慎な言い方ですが、現代に生まれて、私たちは幸せだった・・・・
突然の家族との別れ、恋人との別れ、人を人だとは思わない鬼畜どものやり方にただただ、目をふさぎたくなるばかりでした。
映画の作り手の話をすると監督は、コンスタンチン・ハベンスキーで、「ナイト・ウォッチ」「ウォンテッド」などを作った人で、正直、アクション映画であまり面白い作品を作れる人ではないのではと思っていましたが、本作品は、よくこの映画を撮ったなと感心。
本作品のような作品が作られ、見ているこちらは、起きてしまった事を嘆くより、このような事を二度と起こしてはならない、その思うしかないですよね。
結局、戦争って、何も良い事は生まれない・・・・
本作品、ヒットして欲しいと言うか、人間ひとりひとりが見て考えるべく作品だと思いました。
収容所脱出…
ソビボル収容所脱出からの脱出劇だけど、見せられるのはユダヤ人迫害殺戮のすさまじい現実世界。ドイツ兵との人間同士とは思えない関係。戦争の怖さと独裁者の恐ろしさ、ありえない過去の歴史を強烈に知らされた…残酷すぎる。
身の回りのソビボル収容所
大抵の人は、他人の人権を蹂躙することに躊躇いを覚える。他人が感じる苦痛を想像してしまうから、人に苦痛を与えることに抵抗を感じる。人を殺したり怪我をさせたりすることは、それをやった人の心にも傷を負わせるのだ。
ところが、世の中には人を傷つけても殺しても平気な人間がいる。想像力が欠如していて他人の痛みがちっともわからない人間だ。血も涙もないというのは想像力の欠如のことを言う。そういう人間にはそもそも良心がないから、良心の呵責に悩むこともない。PTSDとは全く無縁のタイプの人間だ。ジョン・レノンがどれほど切々と歌っても、最初から想像力のない人間に、想像しろと言っても無理なのである。
平気で人を殺せる人間は、しばしば人格障害と呼ばれ、犯罪者に多く見られるが、困ったことに、国や企業の指導者にも大変多くみられる。ヒトラーは当然ながら人格障害である。そして極東の小国でトリモロスと叫ぶ滑舌の悪い人も人格障害だ。
人間は不安と恐怖に弱い上に、マゾヒスティックな生き物で、他人を平気で殴ったり怒鳴ったり殺したりする人間に抵抗できない。理屈で対抗できない暴力的な相手には心が折れてしまい、無条件に従ってしまうのだ。多くのブラック企業で天皇制を敷いている独裁経営者がつかまりもしないでいられるのは、人間が羊の群れと変わらないからだ。羊にとって暴力的な人間は狼である。自分は相手を殴れないが、相手は平気で自分を殴ってくる。いつか殺してやると思っていても、そのいつかは永遠にやって来ない。
中には、逆に人格障害者の社長に媚を売ったりして、立場をよくしようとしたりする人間が現れる。虎の威を借りる狐である。狐は、立場が下の者を当然のように貶め、狼経営者の覚えがめでたくなるように努力する。最終的に割りを食うのは、黙って長時間労働をして体を壊す羊のような従業員たちである。こういう構図は日本全国に蔓延している。スポーツのパワハラが騒がれているが、同じことは全業種、全業界に亘って起きている。家庭内でも、学校の友達同士の間でも起きているだろう。
75年前のソビボル収容所におけるナチスドイツの将校たちは、程度の差こそあれ、全員人格障害であった。息をするように平気で人を殺すことができないとナチスの将校にはなれないからだ。
我々の周囲に、ナチスの将校はいないだろうか。ソビボル収容所はないだろうか。
ドイツ人だけが残虐な訳ではない。南京で無防備の村人を襲って強かんし略奪し放火したのは我々の祖父や曾祖父たちだし、ベトナムでジェノサイドを繰り返したのは、米軍をはじめとする多くの国々の兵士たちである。その血は途絶えることなく受け継がれている。
そして程度の差こそあれ、我々の周囲にもたくさんのソビボル収容所が存在している。羊たちが解放される日は来るのだろうか。
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