ベイビー・キャッチャーのレビュー・感想・評価
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雰囲気は好き
子どもを拐う悪魔との対峙を描いた作品だが、日本では劇場未公開。
原題は「STILL/BORN」。"まだ産まれてない"と訳されるが、主人公夫婦の間には双子が産まれる予定だったものの、1人は死産という形になってしまっている。せっかく2人分のベビーベットも用意していたのに、使うのは1つだけであり、主人公は産後鬱寸前の所まで来ている。旦那は協力してくれるがなんせ仕事が忙しい。これから家族を養わなければならない為に一生懸命働く彼には仕事をするなとも言えず・・・。
と様々な角度からのストレスで主人公は限界まで来ているのである。そんな中で現れる死んだはずのもう1人の子どもの幻覚と、無事産まれてくれた唯一の子どもに近づく不気味な影の存在。これが家の監視カメラ等にはその存在が写つらず、子どもに危害を加えられているのに写っているのはまさかの自分自身が子どもに危害を加えている姿。あの悪魔は現実なのか幻なのか。
あらすじを読んだだけでも鬱ホラーなのはわかりきっているが、まぁ暗い映画である。家も薄暗く、主人公も限界の為幸薄そうに見え、明るい兆しが見えること無く悪魔に苛まれていく。ポイントなのはやっているのは本当に悪魔なのかという事だ。実際にカメラには自分自身が子どもを傷つけている姿が写る為、悪魔という空想の敵を作り、自作自演のようになっているのではと取れるシーンが多い。それは明確には提示されないが、仮に今までのが幻想であったとしても、事実だったとしてもラストシーンの旦那の顔を見れば、「何かあった」というのは見て取れる。
精神が壊れていく主人公は可哀想な程であり、87分の本編で良くその辺の描写がされていると思う。肝心の悪魔については、どこか貞子や伽椰子の様なちょっと日本寄りの姿であり、風呂場のシーンはJホラーを彷彿とさせる物がある等の良い点もかなりある。しかしイマイチ盛り上がりに欠け、これと言って印象に残るシーンが無い作品になってしまっている。恐らくだが敵の正体がある程度分かった中で、解決策を見つけて奮闘し、何とか最後は一矢報いてやる位の展開があった方が盛り上がったのでは無いかと思う。本作では最初から最後まで悪魔の思う壷であり、一進一退とまではいかずとも攻防戦というものがそれ程描かれていないのである。そうすると何となくザ・アメリカ映画のそれとなってしまう為、あえて避けたのかもしれないが、やられっぱなしで終わるのはどこか寂しい思いであった。
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