「組長が一番良い人に思えてくる。但し脚本的にはご都合主義というか手抜きじゃないかな。慎吾君は熱演だけど郁男という人間の内面は全く立体化できていない。」凪待ち もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
組長が一番良い人に思えてくる。但し脚本的にはご都合主義というか手抜きじゃないかな。慎吾君は熱演だけど郁男という人間の内面は全く立体化できていない。
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①この映画が成功するかどうかは郁男という主人公の人物造形に説得力があるかどうかに懸かっている。ギャンブル依存性でも、酒飲みでも、自己嫌悪が強い人間でも、共感や感情移入が出来なくても、説得力があれば映画にも説得力が出てくる。しかし残念ながらこの映画ではなくそういう人間の形(表面)しか描けていない。だから後半になればなるほど同じことを繰り返しているようにしか見えなくてダレてくるし、時間も「長~」と感じてしまう。脚本に問題があるのが一番が、慎吾君が悪いというよりも、もっと俳優を本業にしている“役者”を起用すべきだったろう。②犯人もすぐに察しがつく。犯人探しが主眼の映画ではないのでそれはそれで良いのだが、犯人逮捕が余りに遅い。監視カメラにバカスカ写っていたりDNA鑑定が一致していれば、もっと速く逮捕できた筈である。日本の警察は其ほど無能ではない。ここでも説得力が欠けていて映画のリアリティーが損なわれている。③殆どの登場人物の造型も中途半端か類型の域を出ていない。リリー・フランキーの隣人もよくわからない人物造形で退場したら意外に印象に残らない。従い、組長が義理堅い人で良かったねぇ、という印象で終わってしまうのだ。強いていえば、如何にも「小狡くて器のちっせい」同僚を黒田大輔が好演。
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