劇場公開日 2019年6月28日

「レビュー投稿者に感謝」凪待ち 映画は別腹さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0レビュー投稿者に感謝

2019年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

私は昔から公開後に直ぐには劇場に向かわず、多少サイトのレビューを拝読してから足を運ぶのを決めるので、白石監督やサスペンスは苦手だったものの、ヒューマンドラマということで鑑賞。

映画の良質さは、一番は脚本、次に監督、そしてキャストの順番で出来が変わると聞いたことがある。
凪待ちは脚本は勿論、監督の演出力、誰一人として不要な人物がいないほどにキャスト皆の演技が素晴らしかった、三位一体の物語。

特に香取慎吾さんの未熟な男らしくも人間の弱さを表現した郁夫には参った。大男はたいてい優しいが、小心者が多いイメージ。だがそれだけではなくリアリズムの中に愛着を沸かせる声質と仕草、ギャンブル依存も抱え悩む姿を熱演。
我々を吸引するかのような展開と迫力のあるアクションは圧巻。
石巻で起こることの意味、彼の大震災とも呼べる負の連鎖は地震の本震から、強い余震が何度も続くように終わりのない恐怖をも感じ取れる。
そして観客を感情移入に誘うマジックがあちこちに。
最後の見たニュースで郁夫がニヤリと笑う意図も察し、切ない暴力へと突き進む、感情が溢れ出して私も泣いた。
あの場所に住まう人々の行く末がどうか復興とともに前に進みますように。

100本に1本の名作だと私は断言したい。

映画は別腹