「やる気なさ過ぎ」蟲(2018) nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
やる気なさ過ぎ
ヤン・シュバンクマイエル監督のアニメーション作品が好きなので観に行ったものです。
小さなアマチュア劇団の稽古風景を描いた映画作品のフィクション部分と、その映画作品の撮影現場や監督俳優インタビューといったドキュメンタリー部分が混然一体となった、カオスなシュールなブラックコメディで楽しめました。
実写の中にアニメーション表現を交えた作品で、不穏さが募る音響や音楽、編集も良いです。
個人的にはアニメーション表現がもっと観たかったかなと。
フィクション部分は、理詰めでパワハラ気質の役者兼演出家だの、露骨にイチャイチャしたりダラダラしたりやる気なさ過ぎな劇団員たちだの、クセの強すぎる登場人物たちによるコントなストーリーでした。
役者兼演出家は、演出時と芝居時の切り替えがなんとも言えません。
シュールなバイオレンスなグロテスクな展開に、現実と悪夢の境界もあいまいで、滑稽さの中に恐ろしさも。
やはり、ブラック労働やジェンダーギャップ、搾取する側とされる側など、社会に対するシニカルな視点を感じます。
ドキュメンタリー部分も、アナログな手法の撮影風景で感心しつつ楽しめました。
リアルな虫が結構出てくるので、虫嫌いの人は注意が必要かも知れません。
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