「ゆっくり悲劇に向かうしかない」かごの中の瞳 トマトマ子さんの映画レビュー(感想・評価)
ゆっくり悲劇に向かうしかない
幸せな展開になるはずが、なんでこうなっちゃうんだろう。この夫婦のような特殊な事情でなくても、どんな夫婦間でも起こりうるちょっとした思い違いや性格の違いのせいで、どんどん不協和音が強くなっていく様子がめちゃくちゃリアルだった。この夫婦の場合は、妻は夫の外見を知らないまま、夫は妻の性格(事故の前は快活だったであろう)を知らないまま結婚してしまったから、一気に崩れていっただけで。
スペインの姉夫婦との対極が印象的だった。喧嘩もするが趣味や性格は合っている姉夫婦を見て、ジーナは明るくて快活な本来の自分に気づき、内向的で退屈な夫への失望を強めていく。こうなったらもう戻らない。
ただ夫も夫で、要は自分でもコントロールできるような弱い女性が好きなだけ。介護を必要としなくなったジーナに恐れを抱くのは間違い。
なんだかなあ、スッキリしない。
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