「現実と空想を隔てる壁は低い」かごの中の瞳 Kさんの映画レビュー(感想・評価)
現実と空想を隔てる壁は低い
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バンコクとバルセロナの色彩とともに、見えない世界と見える世界を巧みに演出する映像が素晴らしく美しいと思ったが、観終わった瞬間は結局何が言いたかったの、この夫婦一体なんなの、と腹が立った。でもエンディングの曲が「現実と空想を隔てる壁はとても小さくて低いことがある」と歌い上げるのを聴いてはっとした。これは妻の眼ではない、夫の眼だと思った。SMプレイなんて空想の世界では満足しない。妻の眼を潰し、それでいて自分の子ではない子を身篭った妻を甲斐甲斐しく世話する夫。性に奔放になれない冴えない男のようでいて、実は究極の嗜虐と被虐を現実世界で演出しようとしていた夫。一方の妻は、SMプレイに興味を持っていた割にはその役割を担うつもりはなかったようで、そういう視点では平凡な女性になった。自由を手にした女性の物語のような顔をして、夫も十分に隠れた主役だった。
それにしても、どんな場合でもプレイには双方の合意が必要なのだと思った。
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