「結局ブレイク・ファンとしては許してしまうのだけれど。」かごの中の瞳 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
結局ブレイク・ファンとしては許してしまうのだけれど。
ある意味でブレイク・ライブリーのファン・ムービーである。劇場で観られるのは喜ばしいことだが、製作2年も経っての日本公開はあやしい。
子どもの頃に遭った交通事故で失明してしまったジーナ(ブレイク・ライブリー)は、夫ジェームズの献身的な支えで、何不自由ない結婚生活を送っている。
そんな時、ドナー提供の機会を得て、角膜移植の手術を受けて片目の視力を回復する。何もかもが新鮮に見えるジーナは喜びの一方で、地味で冴えない夫の姿や、生活していた自宅の様子など、想像とは違う現実に戸惑う。
好奇心から髪をブロンドに染めたり、ファッションに目覚め、外の世界に飛び出していくジーナ。その姿にジェームズは嫉妬心と猜疑心を抱くようになる。そこから2人の関係は変わっていく。そして眼の見えなかった頃のほうが幸せだったかも…と。
アイデアはいいのに、中だるみする。ジーナの交通事故のトラウマや、心優しいジェームズとの関係性、変化する人間性のリアリティを大切にしたのかもしれないが、もっと極端なサスペンス展開を期待していたので、肩透かし。そういうテーマだったのね。
たとえばジーナがもっと激しく浮気したり、もう一度、失明してしまったりしたら、どうなっていたのだろう。それはそれで単純すぎるけれど、いずれにしてもエピソードが足りないか、テンポがよくない。
結末も観客の想像に任されており、悲劇的結末という意味では同じなのかもしれないが、ドラマとしては弱すぎる。
だからエンディングの、乳児の視点のカメラワークに、"まだ見えないだろ!"とツッコミを入れたくなったり。
まあ、結局ブレイク・ファンとしては許してしまうのだけれど。平均的なフツーの作品。
(2018/9/29/TOHOシネマズシャンテ/シネスコ/字幕:佐藤恵子)