「破天荒スターVSメディアの実話がベース」SANJU サンジュ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
破天荒スターVSメディアの実話がベース
『きっと、うまくいく』『PK』のラージクマール・ヒラーニ監督が、ただヤンチャセレブの破天荒伝を描くだけではないだろうと思っていたが、今回はヒラーニ監督のメディア批判という側面が強くあって、娯楽の中に現代社会批評を入れ込む作風にはいささかも揺らがない。
しごく真っ当かつ真面目なテーマを描きつつ、出番が少ないながらマニーシャ・コイララが母ナルギスを演じたシーンなどメロドラマの盛り上がりは素晴らしい。『PK』でも輝きまくっていたアヌシュカ・シャルマもはまり役。
とはいえ、主演のランビール・カプールの演技と、時代時代を演じ分けるための体形の変化はちょっと異常事態であり、インド映画の「映画はここまでしないといけない」というハードルは上がりまくっていると感じた。個人的にはヒラーニ監督の演出は常に食い足りない部分があるのだが、今回もこちらの小さな不満を超えてくるようなパワーが宿っていると思うし、ボリウッド映画史の一面を垣間見る楽しみも大きかった。
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