ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのレビュー・感想・評価
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現時点でのタランティーノ最高傑作
ディティールのすべてが楽しい。絵が楽しい。ディカプリオが、ブラットピットが楽しい。開始から結末までサービスのオンパレード。タランティーノだからというところであらゆるクセのある行動がすべて伏線に見えてハラハラする。細々としたところに仕込まれた笑いの要素にクスってなる。ブラピの唐突な暴力と、ディカプの唐突な泣かせにくる展開にドキっとする。これは映画とドラマと人の生きざまが、タランティーノ流の小粋なアレンジを加えてぶっこまれたタランティーノ最高傑作だと思います。
二大スター競演 アッパレです
70年代から80年代は、全盛期同士鳴り物入りでのスター競演映画が少なからずあって、ワクワクしながら観に行ったものだけど、大体どっちも立てなきゃいけないから中途半端で内容もガックシって感じだったなぁとか思い出しながら観てました。
それは、そんな事を思い出す空気、時代感をこの作品が携えているという意味で、この映画の二人はもう見事です。
もちろん、スター競演でも「スティング」「大統領の陰謀」「パピヨン」とか(まあ競演というより共演かな)の名作良作もちゃんとあり、そういう作品群に連なる久々のがっぷり四つとして堪能した次第です。
レオもブラピも、まあ二人の今までのキャリアからしたら当然だけど、作品を良くする事しか考えてないよね、でも二人とも大スターで、こっちは銀幕に写ってるだけでも興奮するよね、でもって、張り合うとかだけじゃなく見事に調和してるよね。スゲぇ❗と思ったわけです。長くなったけど。
で、やっぱり、これはタランティーノだから出来たんでしょう。も、感想の結論。
意見は割れるのは理解できるも、私は単純にこの映画は大好きです。
いくら、フィクションでも?
タラちゃんの映画愛は、尊敬できる。
しかし、あまりにも表現が、稚拙で幼稚。
三人組が押し掛けてくるところで、
又このパターンかと思ったら。で、最期は案の定
火炎攻撃か。
いい加減、燃やしてしまえば全てチャラは
ないだろう。事実を扱う映画は、予め決まった事柄があり、その中で苦心惨憺する事で人間ドラマが出来上がる
ものだし、そこが脚本家の腕の見せ所でしょう。
それを、まとめる力が無いからって事実をはねじ曲げて
観てる方にとっては、シラケる以外言葉が無い。
3時間という時間も長すぎ。
在りし日のハリウッド観光映画
マーゴットロビーが、エロ目線じゃなくてカワイイ目線で撮られてて、
「シャロン・テートって、かわいいひとだったんだなー」って思った。
ネットフリックスで、「マインドハンター」を予習で観ておいて良かった。
手玉に取られる160分
クラシックカーの運転席と助手席に居並ぶディカプリオとブラッド。彼らのシルエットを後部座席から捉え、レオ側にブラッドのクレジットを。ブラッド側にレオのクレジットを出す。冒頭のそんな些細なシーンでさえ観客の思い通りにさせないーークエンティン ・タランティーノという監督だ。
シャロンテート殺人事件を語ろうとすればそれはおそらく悲劇となるだろう。しかし、この作品を見た人は果たしてそれに同意するだろうか。クエンティン曰く"悲劇的な物語にはしたくなかった"。
もちろん、観客はこの映画に横たわる重いトーンを常に感じながら視聴することになる。クリフがスパーン牧場を訪れるシーンなどは物語終盤での彼の悲劇を予感させるし、序盤の火炎放射器のくだりからもリックの凄惨な最後を想像するに難くない。
しかし、これらはシャロンテート殺人事件を知る観客が"勝手に"映画へ悲劇と凄惨さを持ち込んでいるだけで、クエンティンはその緊張感を巧みに利用し、終始裏切り続ける。
ネタバレなしのレビューでこの内容に触れた事。その賛否も、映画を見る前と後では違ってくるのではないだろうか。
どういう意味か?それは是非映画を見てもらいたい。
本物の街の一角を貸し切ったというハリウッドをクラシックカーがラジオをかき鳴らして流れていく。そのシーンからはまるで、超の付く映画ファンで、音楽好きで、車好き。そんなクエンティンが世界中の映画ファンへ贈り物をした。という印象さえ受ける。
子役のジュリア・バターズ含めた殆どのキャストの素晴らしい演技も手伝って、映画作りにおけるバランス感覚に優れた監督だと改めて感じた。
タランティーノ映画
最後に急に変わるとか、
暴力的とか、
会話が長いとか、
差別的とか、
冗長的とか、
言ってる人は、タランティーノ映画観てないんだと思う
ブラピとか、レオさん出ても変わらず、
タランティーノ映画でした!
足の裏には、ビックリだったけど
ブラピ良い〜
タランティーノは、
もしかして、
ブラピと仕事がしたかったんじゃないかな…。(笑)
相変わらず、音楽が良い。
映画の中身は史実、背景を知っていれば、
より肩の力を抜いて観れるかと。
逆に知らないと楽しさ半減の面も多々あり…。
特に深いメッセージ性があるわてはないと思うが、
古きよき時代に思いをよせる映画もありだと思う。
事前知識必須
当方事前知識なしで鑑賞しましたが、映像的にも役者の芝居も音楽も全然まぁ楽しめます。ただ長いです。正直眠くなりました。
で、鑑賞後諸々と復習してみると、当時の社会背景や文化に対する知識の有無で、味わいが相当変わる映画だとわかりました。シャロン・テート事件に至っては知らないとお話にならないレベルです。
タランティーノは「しらんくてもへーき」的な話をしてますが、まぁアメリカ人にとっては程々の基礎教養であることも、我々日本人には難しいんではなかろうかと。
少なからず30半ばの私には、よくわからない映画でありました。
充分な予備知識を持ってこの映画を観れる人は、本当に幸せな人だと思います。あぁ妬ましい。
己の無知を恨みます。
最高の2人
落ち目の俳優リックと彼の専属スタントマンのクリフ。2人は激動の時代を共に生き…。
架空の2人が1969年の映画界に深く絡み合うIF物語。監督の考えた最高の形のハリウッドを見せられるのだが、主人公2人が無限に見てられるほど愛おしく魅力的でした。
事件を知らないと謎
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」観ました!
1969年のハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団に殺害された事件を背景に、俳優とスタントマンのコンビの物語を軸にしたクエンティン・タランティーノ監督のスリラー映画。
街にはヒッピー集団が渦巻く1960年代のハリウッドを舞台に、かつてテレビの西部劇で一躍スターとなったが現在は落ち目の俳優リック・ダルトンと、そのスタントマンであり親友のクリフ・ブース。
新たに映画スターへの道を切り開こうとするも停滞している2人。
そんな中、隣に引っ越してきたのは新進気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーと、その妻で女優のシャロン・テート。
正に真逆な状況の2人を見て、再度スタートを切るリック。
そして物語は1969年8月9日へと向かっていく。
まずなんといってもリック役にレオナルド・ディカプリオ、クリフ役にブラッド・ピットという超豪華な共演!
シャロン役にはマーゴット・ロビー。
他にもアル・パチーノ、ダコタ・ファニングなど豪華なキャスト陣。
リックの苦悩や葛藤、またクリフとの関係は見所。
リックの落ち目や現在の自分の不甲斐なさを嘆く感じ、それでも立ち上がるというのは、共感できる部分があるのではないだろうか。
またクリフのアクション、最早スタントマンとしてのアクションではなかったが凄いカッコいい。ブラッド・ピットがカッコいいだけかもしれないが笑
これら2人の友情や成長が軸となっているが、それだけではなくシャロンの存在、ヒッピー集団の存在がどう関わるのかが謎過ぎるまま時間が経つ。
点と点が最終的に繋がるのだが、最早必要かどうかが分からない。
ただシャロン・テートの事件の概要を知っていたら別問題。
僕は一切知らなかったので最後まで謎でした。
終わってから調べてみるとそういうことかとなります。
シャロンの日常だけが描かれた意味について、タランティーノの想いが伝わる。
フィクションでありながら実在の人物(シャロン以外にスティーブ・マックイーン、ブルース・リーなど)と架空の人物が交錯した歴史映画であり、現実とは違う結末になるのがただの歴史映画ではない。
シャロンの生きていた日常、そして往年のハリウッドスターとスタントマンの相棒と呼べる間柄。
これを忘れないタランティーノの想いが込められた映画。
ハリウッドスターとスタントマンの映画としてはいいが、シャロン・テートの事件を知らないと意味分からんし、ただただ長いし、余計なものが多い映画に見えてしまう。
予習なしでは難しかった。それでも★3.5
本作を楽しみたい方は下調べをオススメします。
実在の事件のことを知らずに観ると、途中、ストーリーのコマ切れ感に置いていかれ、うまく入り込めないまま2時間以上が経ってしまう。一方、ラスト20分の見事な回収と暴力さが破茶滅茶すぎて、爆笑したと同時に、結局うまくまとまったなあと感心もした。
わからない中でも、飽きさせない描写やカット割など、演出次第でなんだかんだ観れちゃうなあと、凄さを感じさせる作品でもあった。
映画は好きだけど映画通ではないので、タランティーノがどうとかはわからないけど。ディカプリオとブラッドピットの芝居は素晴らしいし、落ち目の役者と彼を支えるスタント兼付き人の友情は本作の見所であることは間違いない。
まさにおとぎ話だった
ラストの俯瞰ショットで泣いてしまった。みんな幸せに暮らしましたとさ。
西部劇の没落、マカロニウエスタン、ヒッピー、ゴシップ、69年のハリウッド。
シャロンテートがとにかく可愛く知的に描かれていて、後半への伏線になっている。死なないで、逃げて、なんとかして、誰もがそう願う。
亡くなったルークペリーも出ている。良い映画に出られて良かったね。
Ms.パルムドッグ🏆ブランディ🐾
既に鑑賞済みだった洋画好きの姉曰く、
①シャロン・テート (女優)
❷チャールズ・マンソン (当時のヒッピーのカルト教祖)
③ロマン・ポランスキー (①の旦那の映画監督)
あたりのことは知った上で観た方が良いと忠告を受け、彼等のwikiをさらっと読んだ上で観ました(知ってた方がより感慨深く味わえるでしょうが、個人的には知らないと楽しめないというほどでもなかったかと)。
まあ👆🏼の御三方の関係をざっとまとめますと、1960年代後半に当時のアメリカのベトナム政策などにうんざりし、「Love&Peace」「人類は皆兄弟だろ」的思想に染まったヒッピーと呼ばれた若者たちのムーブメントが興隆し、彼等のその左巻きな頭のネジをLSDと性を用いてたぶらかし更に過激に巻き上げたカルト教祖的な男❷チャールズ・マンソンなる人物がおり、彼はかつて自身がミュージシャンとして世に出ることを志し、その望みをある音楽プロデューサーに託したのですが、その夢は叶わず(しかし彼の作った曲は実際には知人のザ・ビ-チ・ボ-イズにパクられ、後にガンズ・アンド・ロ-ゼズらにカバーもされている)、それを逆恨みし自分の信者らにそのプロデューサーの殺害を教唆し実行させたのですが、実際に殺されたのは標的の男性が引っ越した後の家に越して来て住んでいた②ポランスキー監督の妻であり妊娠8ヶ月だった①シャロン・テートさん母子共々と、旦那である監督の留守中にそこにパーティーで集まっていた妻のお仲間連中だったという、アメリカ芸能史上の陰惨な殺人事件の当事者達であるという事で(ちなみにMr.怪鳥音‘カトー’ことブルース・リー氏もお呼ばれされており断って不参加だったらしいですが、もし現場に居合わせていたら彼はヒーロー💪🏼になれたのだろうか🤨⁉️)、
今回のお話は、その家の隣に住んでいたという設定のディカプリオ氏演じる旬の過ぎたかつての売れっ子俳優と、彼の危険な撮影シーンの代役を演じ、且つ付き人的に身の回りの世話もするピット氏演じる専属スタントマンという、2人の贅沢コンビによって繰り広げられる(やはり安定の)ドタバタ劇でもあり、タランティーノ監督が亡き被害者たちに捧げた並行世界のお話か。
本作品にはがっかりしたというレビューも目にし、少し心配してましたが、なんのことはない。数えれば彼の映画は7本目の特にコアでもないライトなファンにとっては杞憂でした。
左後方の間近な客席からポップコーン🍿の匂いがプンと流れて来ていましたが、他の映画鑑賞時と違い不思議とそれが邪魔にならない。なんならアメリカンドッグや嫌な煙草の臭いなどが周囲を煩く囲んでも、それすらも4DX的に受け入れられたのではないか🍗🥴🚬というくらいにアメリカ臭さがプンプンに漂う舞台で、
大して知らない自分にも古き良きアメリカン・ノスタルジアを味わわせてくれる当時のラジオミュージックがボリューム🔊ガンッ⚡️ガンッ⚡️🎶で頻繁に流される中、
『ジャンゴ 繋がれざる者』ではその憤怒する姿✊🏼💀に魅せられたディカプリオ氏が、またもやその達者な感情表現力で忙しい喜怒哀楽シーンをきっちりこなして観客を魅了👏🏼
(鏡前のセルフど怒りシーン🤬は彼の申し出で入れた即興だそうですが、あれはあくまで‘演技’であり、彼の日常そのものでないことを願います。)
飄々としつつも冷静で頼れる男 ピット氏演ずるタフガイ💪🏼に想いを託し、それまで溜めていたものを局所で噴出させたかのような、監督お得意の急に鮮やかにグロに振り切って描かれる狂騒的なクライ(狂い)マックスシーン🤜🏼🥫💥😱🔥もお約束🤟🏼
感涙が流れることはなかったですが、ふと鑑賞後に自身の満足度を探ると“80”という点数がパッと思い浮かんだので、自分はこのお話をそれだけ楽しめたのだなと。
人によっては下手すると「だから何なの❓」で終わらせかねないお話が160分もあって、でもちっとも眠くもならずに最後まで観られてしまう。それが良い👍🏼
『ジャンゴ〜』を観た後と同じ感覚、これぞ 🎞The 映画 ❗️という1本でした🙆🏻♂️
追記:かの懐かしの米テレビドラマ「ビバリーヒルズ高校&青春白書」でディラン・マッケイ役を演じ、過日訃報のあった故ルーク・ペリー氏が、この映画の劇中西部劇でディカプリオ氏と共演されていたそうですが気付けませんでした。これが遺作となってしまったようで R.I.P. であります🙏🏼
2019年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️✨
今年最もドキドキして、最もトリッキーで、最も男泣かせな映画!(笑)
でも…
ブルース・リーはやっぱり、ちょっと可哀想だったかも…(笑)
監督は歴史を作り替えたかったんだ
1969年 ハリウッド。
リック ダルトンはアクションヒーローもので売れっ子のテレビ番組の俳優だ。テレビの仕事がマンネリ化してきて、映画界で活躍したいと思っている。ヒーロー役ばかり演じて来たが、実はクソ真面目で、繊細で、泣き上戸。演技が上手くいかなかったと思い込んで落ち込んだり、台詞が上手く覚えられなくて自信を失ったり、不安神経病ともいうべき性格で喜怒哀楽が激しい。仲間と一緒にいると豪胆だが、一人きりになると頼りない。落ち込んで8歳の子役に肩を抱かれてなぐさめられて、やっと立ち直れたりする愛すべきキャラだ。有名俳優の邸宅が立ち並ぶ高級住宅地ベルエアの高台に住んでいるその隣には、ロマン ポランスキ監督と女優のシャロン テイトが住んでいる。リックのスタントマン兼、運転手のクリフは唯一無二の親友だ。
クリフは9年間余り、リックのためにスタントマン、運転手、ガードマン、付き人として働いてきたが、リックと反対に感情を表に表さないクールな男だ。スタントマンとして撮影ごとに移動できるようにトラクターで生活している。いっこう家を買って定住したり、結婚するわけでなく、人気役者になりたいわけでなく、愛犬のピットブルと一緒に気楽な生活をしている。もっぱら腕力が強く、関係者の間では、妻を殺したことのある男として、ちょっと有名だ。体に自信があるから怖いものなし、失うものもないので不安も不満も持たない。リックとの友情に篤く、クールな男の中の男だ。リックとクリフは二人、泣き笑いを共にして夫婦や兄弟よりも強い絆でつながれていた。
ある日、クリフは待ち時間に、ブルース リーと口争いをしたすえ格闘技で喧嘩する結果になってしまって、スタントマンの仕事を会社から解雇される。そんなクリフは、リックを撮影所に車でドロップしたあと、ヒッチハイクしていたヒッピーの少女を拾う。彼女はジョージと言う名の男が主催するコミューンに住んでいるという。ジョージはむかしクリフと一緒にスタントマンをやっていた仲間だった。しばらく顔を見なかったが、昔使われて、廃墟になった撮影場所に住み着いて、家出少女を集めてコミューンを作ったらしい。会いに行くとジョージはすでに盲目になっていて、クリフのことを覚えても居なかった。
6か月経った。リックはイタリア人監督の強い勧めで、ヨーロッパに渡りマカロニウェスタンのヒーローとして映画に出演し、そこそこに成功して、ハリウッドに帰って来た。共演したイタリア女優フランチェスカと結婚していた。クリフに空港で迎えられ、家に戻ったリックは、クリフに苦しい心の内を打ち明ける。イタリア映画界で作ったお金で結婚生活を続けることはできると思うが、ハリウッドの一等地で今まで所有してきた家を維持するほどの力はない。まして昔の様に、クリフをスタントマン兼、運転手として給与を払っていくことができない。9年間の二人の友情と結びつきが、役者として落ち目になってきたリックには限界に達していた。そこで二人の男達は、お別れに、昔からよくやっていたように飲み明かそうということで一致した。1969年8月9日のことだった。
二人はレストラン食事をしたあとリックの家に戻り、飲み直す。武装した3人の男女が家に押し入った時、リックはプールに浮かんで飲みながら、イヤホンで音楽を聴いていた。クリスは犬の散歩から帰ったところで、昔ヒッピーからもらったマリファナを吸っていて、物が二重に見える状態だった。クリスに向かって、男が銃を構え、2人の女たちがナイフを持って飛び掛かって来る。彼らは、カルトの主、ジョージから、昔テリー メジャーが住んでいた家に行き、家にいる住人をすべて殺してくるように命令されていた。クリスとピットブルは、強盗達に立ち向かい、男と女ひとりを始末するが、クリスは重傷を負い倒れる。一人の女は何も知らずにプールで浮かんでいるリックをアタックした。リックはとっさの判断で映画で使ったことのある火炎放射器で狂った女を始末する。救急車と警察が到着し、怪我をしたクリフを病院に搬送する。
警察も救急車もすべて立ち去った後、となりの家からポランスキーの友人、ジェイが出て来て、リックになにが起こったのか問う。リックの家に強盗が入ったことを知って、シャロンはリックを自分に家に誘い入れる。シャロンと、その友人夫婦とリックの5人がにこやかに、ポランスキー邸に入る後ろ姿で、映画が終わる。1969年8月9日深夜のことだった。
というストーリー。
クエン タランテイーノの9作目の監督作。彼自身の思い出と郷愁のつまったハリウッド物語だ。1969年、彼は、ロスアンデルスに住む6歳の子供だった。映画好きな母親に連れられて映画を子守唄代わりに育てられたそうだ。1969年あの時代が再現されている。60年代の車、大型のキャデラックやフォードやムスタングが走り、映画館には制服を着た売り子と、正装した支配人がちゃんと居る。ハリウッドの撮影所も規模は大きいが、すべて手造りで劇場を大きくしたようなものだ。スターたちが使うトレーラーも、キャンピングカー程度の出来だ。スターたちのあこがれの坂上の高級住宅 ベルエアの邸宅も今アメリカ映画に出てくる豪邸とは比べ物にならない、普通の家よりちょっと大きめ、という感じだ。当時からセレブが集まったプレイボーイハウスも、それほど派手ではない。すべてが60年代のアメリカの姿で、リバイバルされている。この時代のハリウッドを知っている人にとっては涙ものだろう。
この映画は言うまでもなく1969年8月9日深夜に起きたシャロン テート事件を核にしている。この事件はあまりにもおぞましく、この50年間人々は誰も口にしたがらなかった。思い出したくもなかった。でもこのとき6歳だったタランテイーノにとっては、ハリウッドで生活してきて彼なりの解釈とおさらいをしておきたかったのだろう。彼はシャロンについて取材し、誰に聞いてもシャロンのことを悪く言う人は一人として見当たらなかった、と言う。文字通り天使のような女性だったシャロンが、監督と結婚して妊娠して人生のもっとも美しい喜びに満ちた日々を送っている姿に、新たに命を吹き込みたかったのだろう。
現実では当時、ポランスキーは仕事で海外に居た。シャロンは3人の友人と、通りすがりだった男の5人が一緒に、チャールズマンソンを盲信するカルト信者の3人の男女によって惨殺された。当時26歳で妊娠8か月だったシャロンはナイフで16か所刺されシャンデリアからつるされ、血でPIGと書かれた床には、生まれることのなかった男の胎児が落下してる姿で発見された。
チャールズ マンソンは音楽家だった時もあり、自作の曲を何度もメジャーデビューさせようとテリー メルジャーに頼み込んでいたが、成功しなかったことで、テリーを恨んでいた。テリーが以前、住んでいたのが、ポランスキーとシャロン テートが移り住んできた家だった。犯行の動機はそれ以外には考えられない。マンソンはまともな教育を受けおらず、子供の時から犯罪行為で警察と矯正施設を行き来していたが、自作の曲、数曲はレコーデイングされていて、ビーチボーイズやほかの音楽家との交流もあった。家出少女やヒッピーを集めてコミューンを作り、LSDで信者を洗脳し、聖書を自分流に作り直しカルトを作り出した。1969年の無差別殺害を首謀したことで収監され、2017年に83歳で獄死した。
シャロン テート事件はあまりに凄惨な事件で、LSDと、ベトナム進駐で汚染されていたアメリカの姿を映し出した。歴史を変えることはできないが、タランテイーノはハリウッドを愛する者として1969年を描き直したかったのだろう。
さすがにレオナルド デカプリオとブラッド ピット2大スターの息がぴったり合って居る。演じているリックとクリフと、本人たちの性格がかぎりなく本物に近いそうだ。レオナルドのくそまじめで、喜怒哀楽が激しいところと、ブラピのクールなところがそのまま映画でも表現されている。リックが、映画で何度も「おまえ俺の親友だろう?」と、確認するように言うたびに、クリフが、鷹揚に「I WILL TRY。」と答えるところなど、二人の性格の違いががよく表れている。インタビューで、「二人は本当に実生活でも親友なの?」と聞かれて、レオナルドが、生真面目に言葉を選んで言葉に詰まっているところを、ブラピが、即座に「撮影中8か月も一緒だったんだぜ。トイレもシャワーも食堂も8か月間、一緒に使ってたんだから、当然でしょ。」と答えていた。こんな自然なやりとりも映画のようで興味深い。
リックはテレビシリーズでいつもヒーローだが、映画界で成功したい。にも拘らず監督が持ってくるのは、マカロニウェスタンの悪役だ。すっかり落ち込んで泣き顔のリックを家までクリフが送る。その二人の目の前で、ポランスキーとシャロンが幸せそうにスポーツカーで去っていく。途端にリックが「おい、見たか?ポランスキとシャロンだぜ。おい、おい、本物だぜ」と、高校生のようにはしゃぎだして元気になるリック。落ち込んだ親友の慰め役だったクリフが、すっかり鬱から回復したリックを見て「やれやれ」と、リックの肩をたたいて別れるシーンなど、笑わせてくれる。
リックが西部劇でメキシコ国境の酒場での撮影中、台詞を忘れるところもおかしい。リックが、トチっても全く表情を変えずにいるカウボーイを前に、忘れた台詞が出てくるまで大汗かいてシーンのやり直しを繰り返す。こういうデカプリオの一生懸命なとき、役者魂が乗り移ったような 凄みのある演技をする。良い役者だ。
クリフは、リックの頼みで屋根に上って、裸になってテレビアンテナを直すシーンがある。50代になっても贅肉ひとつついていない、引き締まった青年のような体が美しい。また、格闘技のすばやい身のこなしも素晴らしい。背も体格もデカプリオの方が大きいが、ブラピのアクションのキレは、日々の厳しい鍛錬の結果だろう。立派な役者だと思う。
シャロン役のマーゴ ロビーがフォックススタジオの映画館で自分がデイーン マーチンを共演した「THE WRECKING CREW」(サイレンサー第4破壊部隊)19868が上映されているのを見て受付嬢に「私この映画に出てるのよ。」と思わず嬉しくて言うシーンがある。映画のためにポスターの前でポーズをとったり、上映中人々がおかしくて笑うところで、その反応を喜んだり、上映が終わってルンルン気分でアニストンを運転して帰る姿など愛らしい。タランテイーノ曰く、「天使のような子」が、光り輝いている。「ミスターロビンソン」の音楽に合わせて膝上20センチのミニスカート、ブーツ姿で歩く様子も生きている喜びに溢れている。
タランテイーノは自分なりの1969年を描いた。しかし現実は1969年には、深刻なベトナム戦争による弊害で、アメリカ社会は潰れそうだった。まだPTSD(戦争後遺症)といった概念はなかった。それにまだアメリカには徴兵制があった。血を見たこともなかったような子供みたいに純真な若い人々が徴兵でベトナムに送られ、ベトナムの女子供を殺すように教育されたのだ。LSDなどのドラッグが、あっという間に蔓延するのは当然だった。おかげで今では銃も、ドラッグも自由に手に入る。1969年が良い時代だったかどうか、答えはひとつではない。
私には
ディカプリオ×ブラピ×タランティーノのタッグ、見ない理由が無い。楽しみにしていました🎶
私には少し難しいかったけど、後からジワジワきて『あぁ!』ってなる。
シャロンテート殺人事件を絡ませてくるとゆうか、実はこっちを伝えたかったんじゃないかと思った。結末は監督なりの展開にジーンときた。
途中から、ブラピから発せられる色気や仕草がキムタクに見えてきたのは、きっと私だけだな(笑)
最高傑作
ブラットピット、デカプリオを愛してやまないファンである僕には、タランティーノの視線と完全に一致して共感。
ヒッピーとのくだりは最後まで何かあると予感したが、両主役の持ち味を最大活かした展開は予想をはるかに上回る効果となった。
これまで観てきた両主役の役作りの集大成と言っても過言ではない。
あいもかわらずタランティーノ節
序盤は淡々とした映像が続き、事件の事を調べずに観ていたら何を見せられているのかよくわからなかったかもしれない。
が、ブラピ演じるクリフがヒッピー達の住むスパーン牧場に行った辺りで空気が変わる。何かが始まりそうで始まらなくて、でも始まりそうな。ジリジリとした時間。
後半急にナレーションが加わり、別の映画のようにスピーディーに物語が展開される。そう、あの事件に向かって。
予告にもあった後半13分はまさにタランティーノ節。
不謹慎だけど笑わずにはいられない。
なんだかとても自由で、こんなに大きなバジェットでも自分の好きなように映画作っていいんだなと思った。
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