「率直に言って期待はずれ」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
率直に言って期待はずれ
まずディカプリオとブラピを起用したことについて疑問を感じた。別に彼らじゃなくてもよかったんじゃない?確かに、ディカプリオの演技は素晴らしい。劇中劇のシーンで、セリフをとちる演技は、どこまでが演技かわからないほどで、子役の女の子との絡みはずっと見ていたいほどに相性がいい。
でも、彼がこの映画に残した足跡はそこだけ。プールにぷかぷかと浮いていただけで、恐怖におびえるでも、命がけで戦うでもなく『ジャンゴ』の時の怪演は見られない。
ブラピに至ってはそれに輪をかけて存在感のないスタントマン役で、腕っぷしに自信があること以外取り柄がない。
この二人が組んだことで『イングロリアス・バスターズ』と『ジャンゴ繋がれざる者』という大傑作をもう一度!という期待感が、これでもかとばかりに膨らみ切っていた。それなのに話題は、「時代背景を忠実に再現している」とか「売り出し中のブルース・リー」とか「シャロン・テート役のマーゴット・ロビーにセリフの少なさを質問した記者にタランティーノがキレた」みたいな、本編と関係のないものばかり。
ついでに言えば、字幕の担当は個人的にファンの松浦美奈さんだった。
これ以上ないほど自分好みの条件がそろった映画だったのに。結果は、何とも後味の悪いスッキリしないものに仕上がってしまった。
タランティーノは、本当に「10作撮ったら引退」するつもりなのだろうか?これが9作目になる。最後の一本はもう見たくない。出来がひどいことが今から予想できる。
最後に、何がダメだったのか一つだけ書いておく。
お話が、つまらなすぎる。
シャロン・テートが隣に住んでいる必要性なかったし、あたかも、当時の殺人事件の顛末を追ったような演出も…無関係だったし、クスリでトリップしたヒッピーが不法侵入し、同じくトリップした状態のブラピと飼い犬がそれを撃退するということだけ。映画の中で起きることといえば、本当にこれだけだ。