劇場公開日 2018年7月21日

  • 予告編を見る

「渡世人ハードボイルド」雨の首ふり坂 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5渡世人ハードボイルド

2018年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

池波正太郎が自身の小説「雨の杖つき坂」を新国劇の島田正吾の為に戯曲化した「雨の首ふり坂」を中村梅雀主演で映像化した本作は、侍が登場せず、博徒達によって繰り広げられる迫力ある殺陣から、時代劇版「アウトレイジ」と言えると思う。
主人公の白須賀の源七は藪塚の半蔵とコンビで、殺しを請け負う渡世人稼業で諸国を渡り歩いている。
ところが、ある親分殺しを請け負ったことから運命が流転していく。
そして、それから25年後の主人公は運命に導かれるように、首ふり坂のある小諸宿に流れ着く。
この作品は皮肉な縁の巡り合わせのドラマと言えると思うが、作品的には全く異質ではあるが、「スター・ウォーズ」で描かれる一族のドラマと相通ずるものがある。
そして、時代劇とミスマッチ感のあるEGO-WRAPPINGが音楽を担当していて、作品の枠組みに囚われないアウトローたちのハードボイルドなドラマを展開させていく。
安定や安住を拒否して流れ流れた先にあるものに、何とも言えない男の哀愁が漂う。

玉川上水の亀