「演技、世界観に魅力された。歌もとても素晴らしい。」さよならくちびる 虹孔雀さんの映画レビュー(感想・評価)
演技、世界観に魅力された。歌もとても素晴らしい。
小松菜奈も門脇麦も、お二人とも歌がとても上手で、ギターもとても良く似合ってました。
本作は、チームの解散が目前に迫る険悪ムードがありながらも、バンドの思いが沢山詰まった歌が流れていく度に、どこか未来を期待させるような爽やかさが吹き抜けていく映画でした。
出口の見えない青春の原像のようなものを観ることができたと思います。
素晴らしいと思った点は、「人生には絶対に希望がある!」っていうメッセージが含まれていたところ。
最後に三人が選んだ道が一つに結び付いた時、今までの分かれ道は、きっと最後に一つになるために用意されていた道なんだって思えました。
もし、途中で本当に諦めてしまっていたら、別れるための出会いで終わってしまっていたのだと思う。
だから、人生は最後の最後まで諦めちゃもったいないってこの映画は教えてくれたと思います。
大人になれば現実をたくさん観て、ちょっとでも苦しいことあれば、なるべく避けて通る癖が付がちだけど、「希望」さえあれば、また逃げずに前に進んでいく勇気って出てくるんじゃないかなって思えた。
少なくとも、ハルとレオとシマの、必死にもがいて、苦しんで、前に前に一歩を進めていこうと、出口の見えない青春のトンネルを抜けていこうと、がむしゃらに頑張ってる姿に心打たれたし、愚かしく思えることの中にも、また未来の種は用意されているってことも分かった。
愚かであることは肯定できないけど、青春の中には、冷めた擦りきれた感情では乗りきれないことがある。
徹底的に正面からぶつかって、たとえ遠回りになったとしても、そこから逃げずに教訓を掴み出して、そして大人への階段を一歩ずつ歩んでいく。そんな地味で大空を舞うことのできる大鷲に憧れる雛鳥のような自分があるのならば、それこそ今青春を生きているってことなんじゃないかなって思いました。
そんなことをこの3人の生きざまを観て感想として抱きました。
もう、劇場での上映はほとんどやってないはずだけど、もし機会があれば観に行ってほしいです。
ただ注意点としては、あまりにもタバコを吸わせたり、肉体的な描写やセリフが多目なので、肯定のしすぎや、強い憧れを抱きすぎると、若干破滅型の人生を選びやすくなるんじゃないかなと思いました。
良い面もあれば、参考にしてはいけない点もあると思いますが、作品としては3人の演技力や、回想シーンの上手使い回し、爽やかな歌とが世界観を作り上げてくれていたと思います。
総じて見れば、良かったなと思います。
ハッピーエンドでしたので、爽やかさが残ったのは、間違いないことです。