「時代に斬り込んだ塚本版時代劇。」斬、 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
時代に斬り込んだ塚本版時代劇。
前作「野火」で初めて塚本作品に触れ、その世界観に没入し何度も繰り返し観ました。
「斬、」が発表されてからは是非劇場で見たいと思っていたので、スクリーンで鑑賞できただけでも幸せですね。
まず殺陣シーンの緊張感が素晴らしい❗️
序盤の木刀を使った稽古シーンも動きが冴え渡っていて見入ってしまいます。
そして果し合い。
動きの読み合いの末、抜刀し叩き斬る。
肉は裂け骨は砕け、視界を血飛沫が覆う。
自然の静寂の中、ただ生きる為に殺し合う男達。
その衝動はどこまでも純粋で美しかった。
次に蒼井優。
素朴な村娘として登場した彼女こそ、作品のキーキャラクターと言えるんじゃないでしょうか。
彼女を取り巻く環境の変化と、彼女自身の内面の変化。
蒼井優の素晴らしい演技もあいまって胸に刺さりました。
国家の為でも忠義の為でもない。
自分の為にただ、斬る。
「野火」で描かれた武器による暴力の連鎖はよりシンプルに刀に象徴されていて、予備知識なくとも誰もが没入できる時代劇に仕上がっていました。
塚本作品の最新作としても、また導入としてもおススメできる良作です。
コメントする