「悲しいほどにわかる」Bao Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいほどにわかる
息子に依存する母親は、もともと優しくて世話好きで、心配性な性格の人だと思います。
男の子というのは危なっかしいし、どうしても放っておけない心理が働いてしまいます。
夫婦関係があまり良くないと尚更です。夫が家のことに無関心で相談ごとが出来る関係でないと、どうしても気持ちの拠り所は息子になってしまいます
だけど息子がティーンエイジャーになり「自立して生きたい」という原始の本能が発動すると、いつまでも自分の世話を焼く母親は疎ましいものです。母親の支配から脱出して「自分の人生」を生きたいのだから。
一方母親から見れば、まだまだ未熟な息子の反抗的な態度は心配で、悲しみが募ります。我が子を抱きしめたい。もう一度お腹の中に戻したいほどに。
だけど、母親が孤独を恐れるばかりにいつまでも子どもに執着することは、無自覚とは言え許されません。そして息子と決定的に亀裂が入ってしまいました。
上手に子離れが出来なかった母親の後悔の念に身が詰まされます。
大事に可愛がって「食べることの大切さ」を息子の中にしっかり刻み込んだ彼女は立派に貢献しています!
追記
この作品の特筆すべきことは、中国人が作ったということです。欧米人から見たボヤーっとしたオリエンタルな東洋ではなく、しっかりと内側から描かれていたところが嬉しかった。「ムーラン」の時代とは違うということ。
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