「ライヴコンサート映画のようで、実は夫婦愛の愛情物語の映画、そしてニューミュージックの終焉を記録した映画」souvenir the movie Mariya Takeuchi Theater Live あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ライヴコンサート映画のようで、実は夫婦愛の愛情物語の映画、そしてニューミュージックの終焉を記録した映画
自然と涙が流れてしまいました
ニューミュージックと言われた音楽の最良の部分を今に伝えてくれています
共に年を重ねていつしかこんなにも時間が経ってしまった感慨なのでしょうか?
それだけではないと思いました
まりあさんは当然常に画面の中央で歌ってます
その背後にそうそうたるバンドメンバーの演奏が映りこみます
時にミュージシャン達がそれぞれアップになります
もちろん山下達郎さんも映ります
というか、まりあさんの歌う背後にほとんど写っています
数メートル離れているのに、お二人の間には常に濃密なコミュニケーションと信頼があるのがひしひしと伝わります
これはライヴコンサート映画のようで、実は夫婦愛の愛情物語の映画だったのです
このような素晴らしい伴侶を得て、長くお互いを尊敬しあって高めあい、それでいながら子供を育て家庭を維持できる理想像がそこにあります
このお二人にはとても及ばないけれど、本作を観に映画館に足を運ばれた方は皆さんそれなりにこうなりたいと努力をされた方ばかりと思います
そう望んだにも関わらず、出来なかった方もおられたと思います
だからこそ、お二人のステージの姿が心に染みたのです
ライヴの映像ならDVDを発売すればいいのではと言う意見も有ろうかと思いますが、映画館でやること自体に意味があったのだと思います
このお二人のように昭和と平成を生きて年を重ねて来た男女が映画館に集まる
同じような年格好、中には若い人もいる
もちろん知らない顔ばかり
だけど皆さん仲間なんです
そこに意味があったんです
だから涙が自然と流れたのだと思いました
平成の最後に本作が公開されたのも何かの偶然ではないのかもしれません
スコセッシのライヴ映画の金字塔「ザ・バンド ラストワルツ」がヒッピー文化の終焉を活写していたように、本作も昭和、平成と続いてきたニューミュージックの終焉を記録していた意義の有るものとして評価される日が来るのかも知れません
もちろんお二人はまだまだ現役、これからも一層活躍なされて行くことに間違いありません
「プラスチックラブ」のラスト辺りの達郎さんのバックボーカルが圧巻です
続く「駅」で涙腺が崩壊しました
思い出の東横線渋谷駅はもうありません
地下の味気ないコンクリート吹きさらしのただの通過駅に成り果てました
時代は変わっていくのは仕方がないこと
しかし最良の時間と思い出を閉じ込めるのは映画の仕事なのです
同じ思いを持つ男女を集めるのは映画館の役割だったのです