「雰囲気が最高」ダーケスト・ウォーター MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気が最高
過度な恐怖表現を盛り込むホラーより、雰囲気で包んでくれるようなホラーが好みの私にとってはかなりの掘り出し物だ。実際の曰く付きの屋敷で撮影した作品だが、流行りのPOVなどで「本当に写っちゃった」的な作品ではないためひと安心。
姉弟で巨大な屋敷に住んでいるのだが、姉は社交的で外出はおろか、家出したい思いもあるオープンな性格。一方で弟は引っ込み思案で、屋敷からは出たくない、ある意味現代っ子なタイプだ。その正反対の二人の家系には、先祖代々あるルールが定められている。それを破ったら最後、最悪の展開となるのだが、それに関する細かい説明はない。どういう経緯でルールが定められ、破ると現れる彼らの存在は何なのかなどは何となくで終わってしまう。
驚愕の展開も用意されており、作品としては悪くないが、主人公の姉が終盤で自分勝手なのがどうも気に入らない。ショーンという人物が出てくるのだが、彼は完全に巻き込まれた形ではないか。せめて一度は報われて欲しかった。
屋敷の中にあるものまでそのまま使用しているかは不明だが、美術的観点から観るとかなり心に染みていく描写が多く、その美しい空気感にすぐに溶け込む事が出来るのがなんとも良い作品だった。
監督は本作で長編デビューという事だが、これからの作品を大いに期待して良いだろう。
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