「看取り士の宣伝映画ではない。」みとりし とりっぴーさんの映画レビュー(感想・評価)
看取り士の宣伝映画ではない。
結論から言うと
看取り士を紹介する映画ではありません。
どうしてもタイトルに惑わされがちですが
これから観る人は本質を捉えてみてください。
私が言うのもおかしな話ですが
原案の柴田久美子さんが言い続けている
「すべての人が最期、
愛されていると感じて旅立てる社会づくり」
とにかくこれに尽きる映画だと思います。
看取りの文化が失われてしまった現代は
たまたま看取り士がそこに必要なだけで
本来旅立つ方の尊厳が最期まで守られ、
願いが叶えられ、愛に囲まれてさえいれば
看取り士の有無は関係ないのです。
つまりタイトルが「みとりし」なのに
『看取り士っていいでしょ』
『資格を取ってみたくなるでしょ』
『頼んでみたくなるでしょ』
なんて言う気がなく、
ただひたすらに目の前の命と向き合い、
逃げることなく支え、尊厳を守ってほしい。
そして愛情をもってそばにいてほしい。
たったそれだけで命の終わりも輝くから。
そんなことを伝えてくれる映画です。
私は映画をそんなに見る方ではないので
これが正しいかどうかは確約できませんが
【無音】がとても多い映画だと思います。
でもそれは間延びする【空白】ではなく
メッセージ性を持たせた【空間】です。
呼吸の音、所作、心の動き、そして愛。
看取り士からのメッセージがつまっています。
この不思議な没入感は
劇場でしか味わえないかもしれません。
たった2時間で一生が変わるかもしれません。
是非時間をつくって
劇場まで足を運んでみてください。
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