「おかしいなあ。あと少しなんだけど。」銃 MiyuMiyu@マサキチさんの映画レビュー(感想・評価)
おかしいなあ。あと少しなんだけど。
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モノクロ演出と銃の重厚感、村上虹郎くんの不気味な演技がよかった。
ある日銃を手にした青年の理性が少しずつ崩壊していく、というわかりやすいストーリー。目が離せないくらい引き込ませるわけでもないが、決して飽きさせない映像だった。普通の青年が狂気に呑まれていく、のではなく青春を謳歌しているように見えて心に底知れぬ闇を抱えている主人公だったからこそ、堕ちていく姿がわかりやすかった。ナレーションで傍白を入れることでトオル自らはあくまで冷静であることを示すが、心の中の闇が溢れてしまっている。ヨシカワユウコにどうして笑っているの?と言われるシーンが象徴的だった。「なに言ってるんだ?こいつ。俺は笑ってなんかいないのに」自分を制御できなくなっている。この微妙な変化を村上虹郎は不気味に演じていてとても薄気味悪かった。
ただひとを殺すだけ、ただ人が死ぬだけ、という行為が叶った瞬間に世界に色が付く演出はしびれた。
おかしいなあ、あと少しなんだけど
というのは、あと少しで元の世界(ヨシカワユウコが待つ世界)に戻れた、ということなのか、あと少しで死という欲望が果たされる、ということなのか、わからなかった。
音響がたまにつっこみたくなる感じでした...
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