劇場公開日 2019年4月19日

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「最後に言ったマモちゃんへの感情」愛がなんだ mi2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5最後に言ったマモちゃんへの感情

2022年5月14日
iPhoneアプリから投稿

最近でいえば「花束みたいな恋をした」とか「明け方の若者たち」とかのキュンとするというよりは胸が締め付けられる系の恋愛映画です。その2作は一度は双方向的に恋愛が進みますが、今作は恋愛の矢印が一方通行です。
恋愛映画の多くは付き合う直前から始まることが多いですが、実世界で考えると恋愛で酸いも甘いも経験するのは、付き合った後よりも自分を好きかどうか分からない相手を想い行動している時。この映画は恋愛の酸っぱい部分を思い出させてくれます。(良くも悪くも)

感想としては、「テルちゃんも中原くんもよく頑張った!」これに尽きます。テルちゃんは終わってないか。。

旅行で心が折れた中原くんがコンビニで葉子を諦めようとしている姿に「愛がなんだ」と言い放つテルちゃん。お前が諦めたら同じ境遇の私はどうなるんだよ、とでも言いたげな表情。
銭湯で働くパートの先輩にも「別れた旦那も時間が経てばどこが好きだったか分からなくなるよ」と次の恋愛へ行けとも取れるアドバイス。
ここで諦めるのかな、と思っていたらテルちゃんは看病に来たマモちゃんにとっくに好きじゃなかったと嘘をつきます。テルちゃんの芯が強すぎる笑。

最後は、ダブルデートの中で「マモちゃんへの恋でも愛でもない執着は何なんだろう」と自問自答して終わります。
中原くんの事やパートのおばさんの事をうっせぇと切り捨て、好きではないと嘘をついてまで今まで通り会っている自分の「好き」を考えています。
恋と愛の定義が気になったので調べると「恋」は一方、「愛」はお互い通じ合っている時。「好き」は恋の一歩手前、とのこと。(諸説あり)

私の解釈は、テルちゃんのマモちゃんへの執着は、恋も愛も押し殺した好きなのではないかと思っています。ラストショットの象とテルちゃんは、自分の好きと向き合う彼女の心の描写と捉えています。テルちゃんがんばれ。

mi2