「名作未満」愛がなんだ ニックルさんの映画レビュー(感想・評価)
名作未満
とても面白く観た。ラストが非常に残念。ラストに納得感と驚きがない映画は最終コーナーで転倒した馬みたいなもんで、やっぱり気持ちの良いものではない。原作物だからラストは変えられなかったのもあるんだろう。
恋って自由なものであるべき、特に映画の中ではそうあって欲しいと思っていて、だから周囲に自分も相手もダメにすると言われても聞き入れないヒロインは美しく映る。
彼女が最愛の相手の恋を応援するのか、それともそれに託けて関係を続けるという選択なのか。ラストではこの辺りの事が分からないのでモヤモヤが残る。「これは好きでもない、愛でもない」とモノローグで語られるが、立派に好きだし、愛だよねって感じに矛盾して見える。
それ以上の文学的な感情の機微を描こうとすると、また別の話や展開にせざるを得ないのだと思う。また、「結局この日常が続いた結果、失恋して(?)象の飼育員になりました」というのも意外性が無く、驚きを生まない。
表の感情と裏の感情をあまり説明せずに刻んでいく事でキャラクターを複雑に、リアルに、映画的に見せる事がこの監督の芸だと思うが、ラストではその葛藤がどうケリがつくのかを、ベタベタな事故とかでいいからちゃんと観たい。
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