「愛とは意地でしかないのかもしれない」愛がなんだ tさんの映画レビュー(感想・評価)
愛とは意地でしかないのかもしれない
俺はさ。恋愛なんてクソみたいなもんだと思っている。男にハマる女(あるいはその逆)を全く理解できないし、バカじゃねえの?と思ってきた。
・・・しかし!本日を以ってちょっとその考え方を改めようと思う。俺は、この映画のテルコの気持ちはとてもよく理解できた(・・・気がする)。
恋愛とは、ただセックスがしたいだけの男(女もそうだけどな笑)、使い勝手の良い財布(男)を求めている女、この2者が互いに合意を得た契約だろ。それを好きだとか切ないとかクソみたいな言葉でごまかしやがって。お前らみんな最低の偽善者だなwww
と思っていたが、どうやら、そうではない恋愛もあるようだ(無論、最低なのは俺だ。そこは認める。だからこそ俺は恋愛が嫌いだった)。
劇中、テルコがどんどんマモルにハマっていくんだよね。何故か?
この何故か?を考えるのが、この映画のオモロいところですね。人によって回答が違ってくるだろうからね。
俺の考えでは、彼女がハマってしまう理由は、「愛があるから」ではない。テルコ自身、既に自分は悪い男に引っかかっちゃったなぁ、人生失敗しちゃったかなぁ・・・と、多分自覚している(劇中、それを彷彿とさせるシーンがいくつかあったと思う)。それでもテルコは後戻りせず突き進む。これは、もはや「愛があるから」じゃなくて「意地」みたいなものだと思ったんだよね。「ここでマモルのことを諦めたら、これまでマモルに費やしてきた時間が全て無駄になるし、マモルのことが好きであるという気持ちが嘘になる」という意地。(これは、根本的に脳の構造が侵されてしまう依存症とは違う。まぁその境界線は曖昧なものだけどね。もしかしたら、テルコ自身、ある種の依存症なのかもしれないが、俺はそう思いたくない!)
この映画では、ハマる対象は「好きな男」。しかしながら、恋愛に限らず、人が何かにハマる場合、この映画のような過程でハマっていくよなぁ。。。と思った。だから理解できたのかも。
俺自身経験あるのだが、最初は好きで始めたことは、ある境界線を超えるとだんだん辛くなる。なぜか?例えば、スポーツとか創作活動で、人並み以上の成果を出したいと思った場合、ある程度辛くなるぐらい継続してやりこまないとダメ。最初は好きで始めたことなのに、いつのまにか辛くなっている。でも、ここでやめたら全てが無駄になる。
もうね。。。そうなると、好きとか嫌いとかどうでもよくなるんですよ。そこには、絶対にやり遂げてやる!!!という意地しかない。こうして人は身を持ち崩す。でも「己を貫き通す」ということは、こういうことだよね。そう考えると、ヤクザ映画みたいだ、この映画。
テルコとのことを「バカだ」とかいうバカに言い返してやりたい言葉は「お前自身、身をもち崩すほどの覚悟も根性もないくせに、安全なところでただ傍観しているだけなくせに、人生失敗しちゃった人に対して偉そうなこと言ってんじゃねぇ!バカが!」ということだ。
・・・なーんてね。恋愛を題材としているけれど、どこか普遍的なんだよねこの映画。恋愛映画嫌いな人でも楽しんで観れると思う。
本作の登場人物は誰一人として心が通じていない。ある意味、めっちゃリアルで残酷な世の中を、客観的に捉えている。
登場人物が結構セリフで言い切ってくれるので、すんげー分かりやすい(笑)。知り合いと観に行ったら色々と語れるかも?笑