「愛には届いてなくね?/後半面白くなる」愛がなんだ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
愛には届いてなくね?/後半面白くなる
テルコの子役の子は、朝ドラ花子とアンの花子の子役の子だと思う。映画私の男の二階堂ふみの子供時代やってた子でもある。久しぶりに見た。彼女かわいい。
テルコには全く共感しない、したくない。
仕事をあからさまにサボる部分が、就職氷河期世代のわたしには許せない。金を稼ぐことに執着せずしてどうやっておまんま食うね?という貧乏ヒマなし系の説教で頭がいっぱいになった。
でも、相手からの電話を全身で待って、それに生活のプライオリティを置くって愚行をしたことがないとは言えない。
もう寝てたのにまだ起きてたよとか、すでに帰宅したのにまだ外やからすぐいけるよとかの嘘はついた。嬉々として。
なので、まぁかつては似たようなこともしたのは認める(仕事中は絶対しませんでしたよ、わたしは)。
電話の話し声があまぁーく、とろぉーり、ねちょーんとする感じ…身に覚えがある。くそっ。
つまりしたくないけど共感する部分もあった。くそっ。
でももうそんな季節は過ぎているから、男に執着する感覚を忘れつつあるから、ちょっとだけ懐かしくもありつつ、テルコにばかたれって(脳で)叫びながら見た。
マモちゃんの心のシャッターいきなりがっしゃーーーんのシーン(テルコが仕事辞めた翌朝のやつ)、面白かった。
頼まれてもないのに甲斐甲斐しく世話とか、引き出し開けて靴下の左右まとめる(きもっ)とかは、やったことないけど、二人で使おうと思って土鍋買ったけど距離置かれて使えへんかった、には身に覚えが…土鍋ちゃうけど。
テルコはマモちゃんが好きなんじゃなくて、マモちゃんを使って恋愛妄想を楽しんでいて、頭の中でマモちゃんを自分の思う通りにしてくれる理想の男として使ってる。脳内彼氏の外側だけリアルで調達するけど中の人は自分の妄想、なんじゃないかな。マモちゃんの人格は基本どうでもよくて、あんまり観察してない。話したこととかは覚えてるから、相手の言葉と言葉の間の感情を、勝手に作っている。そして、その頭の中のマモちゃんと違うマモちゃんを見せられると、この世の終わりみたいに傷つく。
テルコに対してそう思うのは、わたしの恋愛の失敗が全部それだからなんだけど。
自分の楽しい妄想が先走って、目の前の相手を慮ることが疎かになってたなぁと、反省した。
そして相手にも同じことをされて、ものすっごく傷ついたなぁ…
テルコとマモちゃんがうまくいくわけないのは最初からわかっていたので、だらだらとテルコが追っかけてはシャッター閉じられてるのを見てるのがつまんなかったけど、すみれさんとあった後になぜかテルコの部屋でする流れになった折、マモちゃん勃起しなくてできなかった後の会話から明確に面白くなった。
マモちゃんのへらへらした外っつらの下にあった本音が吐露されてから、テルコのひとり相撲でなくなった感じがして身を乗り出した。
そして唐突になかはらくん、ようこ、マモちゃん、テルコの愛についての語りと思しきシークエンスが続く。
なかはらくんはまっすぐでよかった。
ようこは仕事何してるねんって思った。
テルコとのケンカは面白かった。どっちの言い分ももろ図星だから、言われたことを打ち消したくて、相手の言われたくないことを重ねていく不毛なケンカ。ムキになって相手を打ち負かそうとする感じ。なんかなつかしい。
マモちゃんは、すみれさんのことになるとテルコになる。
きらいな湯葉も好きとか言ってるし。すみれさんのいうことはなんでも聞いて、重い。
多分すみれさんに好かれないのは、マモちゃんがテルコを好きにならないのと同じ理由じゃないかな。
ざんねーん。
彼らは一応相手を愛してる体でいるみたい。
でもわたしは愛には足りてないと思った。
ようこはよく分からなかったけど、なかはら、テルコ、守はまず適切な自尊感情を育まないとダメじゃないかな?
自己評価が低いから、相手に過剰にすがるっつーか、相手を過大評価するっつーか。自分みたいなもんに情けをかけてくれるなんてそれだけで好きになっちゃうっつーか。
まずは自分一人で幸せってところから、人を愛さないと続かないんじゃんって思う。
偉そうにごめんねだけど。
テルコの一人暮らしの部屋が家賃高そうで嘘くさい(この映画に限らずどの映画もドラマも予想される収入よりええ部屋住んでるのが気になる)とか、
お風呂でシャンプーしてもらうのはなんかええなぁとか、
セックス前のキスなのに舌も絡めへんなんてつまんねぇとか、
テルコ銭湯の掃除だけで家賃どやって払うのとか、
岸井ゆきのちゃん、普通な感じでかわいいとか、
ようこの中の人誰?(元乃木坂46の人らしい)とか、
多分原作小説は2000年代のはじめのやんなー下手したら20世紀の話よなーだから恋愛観ちょい古いんよなーとか
どうでもいいことも思いました。
それにしても、お客さん多くて、普段のここの映画館は37のあたしが若い方に分類される客層なのにさ、女子大生がわんさかきてて。本当にびっくりした。
時々混じってるいつもの客層のひとり客はおそらくみんなびっくりしてたんじゃないかな。
そんなに成田凌が人気?なんで?と何回も思った。
テルコはついに象の飼育係になったんですね。どこまでもアホだね。