「隙間のある、鋭い映画。」愛がなんだ larriveeさんの映画レビュー(感想・評価)
隙間のある、鋭い映画。
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映像に夢中になっているにもかかわらず、自分のことを考えて、照らし合わせている時間がたくさんあった。
テルコ→マモちゃん→すみれ→テルコ
このサークルが繊細で、不気味で、リアルだった。すみれはテルコに、昔の自分を重ねていたんだと思う。寂しい気持ちは、実はすみれがずば抜けて感じていたような気もする。
相手のためを思ってする行動は、本当はすべて自分ためになってしまう。そして、そのことに気づかない人が、この世の中には大勢いる。観ていて自分もその大勢の中の1人だと思い知った。
ナカハラはそのことに気づいた唯一の登場人物かもしれない。(葉子の母と銭湯のテルコの上司は除く。) 気づいてからの彼はかっこよかった。なによりナカハラ役の彼は、素晴らしかった。
描かれてはいなかったけど、葉子だって、雑誌の編集長や、仕事で関わる人に自己愛を振りまいていたはず。ナカハラが思うほど強い人間ではなくて。もしかしたら、テルコやマモちゃん、ナカハラよりも寂しさを感じる人なんだろうな。
唯一わからなかったのは、好きすぎてもはやあなたになりたい、という感覚。自分がまだ未熟者なのだろうが、それは恋や愛を超えた感情なのだろうか。
でも、もしそうなのだとしたら、やはりテルコはいつまでたっても自分しか幸せにならない選択をして生きていくんだろうな。良いか悪いかは別として。
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