「原作好きです」蜘蛛の巣を払う女 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
原作好きです
映画スウェーデン版「ミレニアム三部作」とフィンチャー版「ドラゴン・タトゥーの女」は鑑賞済、原作「ミレニアム1.2.3」は読了、「蜘蛛の巣を払う女」は未読です。
私は原作が一番好きですが、映画で原作に一番近いのは内容的にも雰囲気的にもやはりスウェーデン版かと思います。そもそも「ドラゴン・タトゥーの女」の原題が「女を憎む男達」であり、女性への暴力と権力構造(主に男性)の繋がりを暴いていく内容なので、原作者の意図としては少なからず社会に対する問題提議があるかと思います。原作を読んでリスベットは、DVや幼児性愛への怒り、つまり全ての女性達の怒りを体現したものと感じていました。
フィンチャー版で物足りなく感じたのは、リスベットとミカエルの関係にフォーカスし過ぎてしまって、原作の意図とずれてしまっていたところにありました。曖昧な記憶ですが、原作の持つメッセージ性が弱かった様な気がします。
今作はアクション色が強くても、女性へのDV、虐待の部分についてはしっかりと描かれていたと思いますし、リスベットとミカエルの距離感も違和感がありませんでした。彼らは恋愛で結ばれているのではなく、信頼で結ばれていますので。
リスベットもカミラもDV、虐待の被害者ですが、お互いがお互いを憎しみあっていました。母親と娘でも似た様な例があるのではないでしょうか。この部分が、女性同士が何かと対決させられて、根本が誤魔化されてしまっている社会の風潮と重なってみえました。
ミカさん、ご無沙汰です。
スウェーデン映画の『ボーダー 二つの世界』ご覧になりましたか?
この映画でも、児童ポルノが重要なテーマのひとつとして取り上げられていました。ただの偶然なのかもしれませんが、『ミレニアム』での取り上げ方といい、福祉国家として先進的かつ洗練されたイメージのかの国においても、或いは、だからこそなのか、文学や映画に関わる文化人にとって本当に看過できないレベルの社会病理として存在しているのでしょうか。日本で最近報道されることの多い児童虐待においても、実態としては女児への性的なものも多いのでは、ととても憂鬱になりました。
分野は違うのに何故だか村上春樹さんや伊坂幸太郎さんを再読したくなったので、そのあと、残念ながらラーソンさんが夭折し作者が変わったそうですが、ミレニアム4、5も読んでみようかと思ってます。
以上、取り急ぎご報告させていただきます。
色々とありがとうございます!
ミレニアム3、先程読み終わりました。
朝の通勤のときは、裁判のクライマックスで夢中のあまり、危うく乗り換え駅を通過してしまうところでした。
よく男女の間に友情は成り立つか、という議論がありますが、どう展開するにせよ(恋愛関係として発展するか、恋愛感情がなくなるか)、根幹に敬意と信頼があるかどうかがなんといっても大事なのだということですね。結婚生活においても自然体でうまくいくことは難しく、かなりの継続的努力(卑近な例では、急な飲み会で遅くなる時にちゃんと連絡するとか、家事を分担するとか)が必要です。
ミカさんやリスベットのおかげで、性暴力やそれに対する社会的風潮について以前よりも勉強するようになりましたが、そういう視点で眺めると確かに被害女性に対する決めつけや偏見や思い込みが(私も含めて)社会全般に根深いことが見えてきました。今公開中の『12人の死にたい子どもたち』に出てくる金髪女子高生の描かれ方は正にその表れだと思うのですが、以前の私だったら違和感なくやり過ごしていたと思います。
(詳細はそちらのレビューに書かせていただきました。まだまだ足らない点や勘違いしてる点もたくさんあると思ってます。お気づきの点があれば、遠慮なくおっしゃっていただけると幸いです。)
エリカを苦しめているストーカー⁈のようにしつこくコメントしてしまい、申し訳ありません。
ミレニアム2 読了‼️
上・下合わせて1000ページほどもあるのに早く先が知りたくてあっという間に終わってしまいました。いや、3に続くのでまだ途中ということになるのかな?
全体的なことはその後にまた述べさせていただくつもりですが、『リスベットから敬意と信頼を得られる男なら、誰からも信頼される』そのことは間違いないですね。私がそんな男になるのは無理ですが、せめてリスベットから〝敵意を抱かれない〟男にはなろうと思ってます。全男性の5%だけでもそうなれば、きっと世の中が大きく変わるのでしょうね。
早速のコメントありがとうございます。
一気読みすると、楽しみがすぐに終わってしまいそうなのが怖いので、2月、3月にそれぞれ読むことにします。
そういえば…、
ミカエルがリスベットに尋ねた友情の定義…敬意と信頼、それも一方だけでは成り立たない、お互いに持つことだ。
自分は果たして、友人と思っている相手からの信頼を得ているのだろうか。
リスベットの切なさと同じくらい、深く心に刺さりました。
ご迷惑かもしれませんが、2、3読んだらまた感想書いてもよろしいですか?
ミカさん、ミレニアム1読みました。
映画が良かったので原作はいいかな、と思ってたのが、恥ずかしくなるくらい、凄いですね。不幸な女性に寄り添う気持ち、そして男が漠然と感じてるより遥かに女性は被害者になり得るし、被害者になる可能性にいつでも晒されていること、その恐怖を潜在的に抱えていることなどが、今までより現実的に想像できるようになりました。
自分にとっては何気ない状況でも恐怖や威圧感を持つ人がいることへの想像力や
観たばかりの『ジュリアン』のレビューで触れたように見て見ぬ振りだけはしないように、と改めて思いました。
それにしてもラストのリスベットの切なさには、そこらの恋愛ものが霞んでしまうほど涙が溢れそうでした。通勤電車の中なので必死になって堪えてました。
ミカさんの伝えたいことを正確に理解できている自信はないのですが、私も含めた男性全般の認識や根本的なスタンスについて、一定の問題意識を持つ女性からは、未だに違和感或いはまだそこなの?という感じが拭えないのではないでしょうか。
というのも小川たまかさんの著作『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』を読んだ時に、性暴力やジェンダー格差などのことについて、自分が何もわかっていないことを知らしめられたからです。分かってないことを分かることから始めるしか無いと思いながら考え続けようと思っています。