LBJ ケネディの意志を継いだ男のレビュー・感想・評価
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JFKの後釜という苦悩
切り取る角度を変えると、歴史の違う表情が見えてくる
という歴史の見方の面白さを感じた作品
まず、LBJ という名前になじみがないんだけれども
それは、リンドン・B・ジョンソン元大統領のこと
彼は、上院議員の院内総務(一番力のある人)を務めていて、大統領選挙に立候補するもJFKに負けてしまう
ケネディとは、全く正反対の意見をもつLBJ だけど、ケネディは力のある彼を副大統領に指名する。
ケネディは、敵は外よりも、近くに置いた方がいいと考えたからだ
とはいえ、世間が注目するのはJFKで、LBJの意見が反映される機会などない
ところが、間もなくJFKが暗殺されてしまう
アメリカでは「ベトナム戦争を長引かせた大統領」という評価をうけたLBJだったけれど、果たして本当にそうだったのか…
と、この映画では問いかける
大統領に就任したJFKが推し進めていたのは、黒人の権利を認める公民権であり、国民は
「アメリカに差別のない新しい時代がやってくる」と期待していた
しかし、その、イケメンでスマートなケネディ大統領は暗殺されてしまい、アメリカに「ケネディロス」の波が押し寄せる
そのケネディの代わりに「正しく法律にのっとって」大統領に就任したのは、南部の田舎町からやってきた保守的なおっさんのLBJだった
それまで、LBJは公民権に反対だったけれど、急遽、大統領に就任したことで、反対を貫き通すか、賛成するかの選択を迫られる
このLBJは、田舎から出てきたおっさん丸出しの古いタイプの政治家で、言うことも下ネタ満載だけれど、
どこか憎めないタイプ
彼は彼なりに、考え方は正反対だけれど、国民から絶大な支持を集めるケネディについて、彼が愛される理由を考え、自分も愛される人間になろうと努力していた
そんな彼の裏側の姿がここでは描かれているから、憎めないんだろうと思った
「もしも、JFKが生きていたら、もっと違う世の中になっていた」というのは、よく語られることだけど
「もし、この時ジョンソンが違う選択をしていたら」というのは、あまり聞いたことがない
今、多様性が叫ばれる時代だからこそ、この時のジョンソンの選択について、再考察するべきなのでは…
と考えさせられる作品になっている
勉強不足な私としては、ケネディの次はニクソンだとばかり思っていて
このジョンソン大統領の印象がなく
それだけでも、とても勉強になった映画だった
加えて、そのジョンソンを通して、JFKの偉大さを改めて感じる映画だった
政治とは、権力闘争で勝ち抜くためのものなのか、それとも、国民のためのものなのかを考えさせられる作品
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