「微笑み」この世の果て、数多の終焉 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
微笑み
第二次世界大戦末期、フランスと日本に二重支配されていたインドシナにて、兄を殺された恨みからベトミンの将校を追う若きフランス兵の物語。
主人公の抱える問題は勿論、同じフランス軍人の密かな悩みや、日本軍(映画では粗撤退後のようでしたが)、フランス軍、ベトナム解放軍が入り乱れる情勢下での現地人の生きづらさ等々がよく描かれており、心が苦しくなる描写が多かった。
結論から言うと、僕レベルではなかなか理解が難しい作品だった。
戦争映画としては、先週観た「フォートレスダウン」と、舞台や時代は全く違えど、構成や展開がやや似ていた。アクションに重きを置かず、伝えるタイプの戦争映画はやはりこういうのが多いんですかね。
しかし、あの作品も大分難しい部類に入る印象だけど、本作はそれさらに輪をかけたような難しさに感じた。
何せ、日本軍の大量虐殺のシーンは冒頭のほんのちょっとだし、肝心の兄が惨殺されたという点に至っては、話では説明があるけど、実際の描写が全く無い。
追っている人物と日本軍の関係ってどうなんだろう。。
ラストシーンもよくわからない。
何かに感づいたのか、それとも戦闘以外でも呆気なく死んでいく命に虚しくなったのか。
あるいは結局あの場所で…
戦争の怖さ、悲惨さというのは嫌と言うほど伝わったが、この映画のストーリーそのもの自体がどういうものだったのかと聞かれると難しい。
結構客側の想像力が必要な作品なのかも。
そして、他のユーザーさんも仰っているように、死体の描写は本当にキツいものがあります。
しかし、それ以上に自分は最後の方のシーンで一瞬見せたあの微笑み…
アレが結構効いたようです。軽いトラウマレベル。今年観た映画の中で一番怖かったかも。
多分、アレが結末を物語っていたんでしょうけれども、もはや人が死ぬことなんて何とも思わなくなったのかな、なんて思ったら、改めて怖く感じました。
まさにこの世の果てといった舞台で、いくつもの終焉が詰め込まれたような作品だった。