「息をのむような映像の美しさと強かな語り口」Diner ダイナー りちゃさんの映画レビュー(感想・評価)
息をのむような映像の美しさと強かな語り口
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観終わって、最初の人の流れのデフォルメで作品全体の描き方が定まり、その中に作品の様々な要素がしなやかに織り込まれ、戯画的な部分や想いの語られ方にもその先が生まれブレることがなかった。
色使いの美しさが一重ではなく、その禍々しさにも耽美さにも華やかさにもグラデーションが作られ、時に観る側の感性を凌駕するような多層的な質感やトーンによってシーンの空気や人物たちの軽薄さも闇も描き出されていた。それは俳優たちの紡ぐものをしっかりと映えさせつつ、個々の演技の力だけではない作品としての感触を作り出していたように思う。
原作のスピリットもしっかりと取り込まれ、圧倒的なアクションも心の風景を演劇的な要素に丸めるような語り口もバランスよく編みこまれていて。
ラストの抱擁にはカタルシスが訪れた。
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