「一言で言うなら「お洒落」な映画」Diner ダイナー といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
一言で言うなら「お洒落」な映画
この映画を見て感じた印象は「ひたすらにお洒落」だということでした。
バイオレンスな描写やエロティックな描写が多く盛り込まれた映画でありながらも、下品なイメージを観客に抱かせないようなお洒落な演出がされていて、蜷川実花監督の手腕が感じられました。
例えば、小型爆弾を口に押し込んで爆発するシーンでは血の代わりに羽毛がフワフワと飛び散ったり、首を切られて殺されるシーンでは床に散らばった薔薇の花びらが血の役目を果たしていました。「殺し屋専用レストラン」という設定上、どうしても避けられないバイオレンス描写を、バイオレンスを上回るお洒落描写で美しく表現されているという印象です。私個人は残虐な描写を苦手としているので、これはとても嬉しかったです。残虐描写が好きな人にとっては物足りないかもしれませんが。
ストーリーは良くも悪くも「王道的」なので正直目新しさは感じないですが、逆に言えば「間違いなく盛り上がる展開」ではあると感じたので、そこもまた良かったです。
そして何よりも豪華俳優の演技。本当に素晴らしかった。
藤原竜也の演技はもちろんのこと、主演の玉城ティナの演技力の高さには驚きました。恐怖に怯える表情は本当に死を覚悟しているようなリアリティがありましたね。
あと蜷川実花監督の父親である蜷川幸雄さんも作中に(絵画やそっくりさんが)割と頻繁に登場するので、「偉大な父をネタにできるのは実花さんだけだな」と、ちょっと笑ってしまいました。お父さんの登場には賛否両論ある気もしますが、シリアスなシーンの連続で緊張状態になってしまったのを上手く緩和できてて良い演出だと私は思いました。