「吉田羊、ミセルね」ハナレイ・ベイ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
吉田羊、ミセルね
気がついたらズシンと来てた。というのが最初の感想。その辺は村上春樹原作の味なのかな。セリフが極端に少なくて、ひたすら主人公の押さえ込まれた虚無感やら葛藤やらが、無表情に映し出される。ジャンルは違うが、ハードボイルドな雰囲気だ。
物語は、ハナレイベイでのサーフィン中にサメに足を食われて命を落とした息子。母子家庭で一緒に暮らしていたが、実はあまり折り合いは良くなかった。彼女は毎年、息子が亡くなった時期にハナレイベイを訪れ、浜辺に椅子を置いて、本を読み続けていた。
大半が一人芝居で、吉田羊が20歳過ぎの子供を亡くした母親を、演じ切った。青い海と空に、そこで若くして亡くなった息子の足跡。現実の受け入れ方がよくわからず、さまよう姿が、痛ましく、たくましい。
映画として面白いかというと、少し疑問符は付くが、小説の雰囲気というか余韻は、上手く再現されていたと思う。観て良かったと思う。
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