「保育園落ちた日本死ね」タリーと私の秘密の時間 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
保育園落ちた日本死ね
美味しいマフィンを作る完璧な母でありたい。綺麗に掃除された部屋で家族団欒する完璧な妻でありたい。夫をベッドで楽しませる完璧な女性でありたい。
日本でも雑誌や広告などで、綺麗で仕事もしていてプライベートも充実している「キラキラ主婦」的な女性がモデルとして良く掲載されていますが、「馬鹿言うなよ」と言いたいです。あくまでひとつの憧れとして掲載するなら分かりますが、完璧な女性が一般的な女性として広告化するなんて、ホント女性にとって残酷な社会ですよね。ボロボロに疲れきったマーロみたいな女性がギリギリのところで踏ん張っていて「保育園落ちた。日本死ね」と感じるのが、大半の女性の現実なのではないでしょうか。
自分自身を救うのは、ギリギリのところまで命を追い詰めた自分自身だった。毎日自分自身を癒すのは、若き日の自分しかいなかったって、女性版「ファイト・クラブ」ですよね。男性主義的な価値観で自分を壊した「ファイト・クラブ」の主人公と、母性神話的な価値観で壊れてしまうマーロが重なりました。壊れた彼女らを救うのは、自己責任としての自分自身なのか?はたまた社会なのか?この作品を鑑賞して色々と考えさせられました。
マーロとタリーと。これは二人の“タッグマッチ”だったかもしれませんね。
つまり、二人でタッチしながら交代で闘うプロレス。
闘いの相手=「敵」は誰だろう?と思いめぐらせます。
「おい、そこの野次馬たち、他人面下げた見物人たちよ、お前リングに上がって来いやーッ!」
って呼び掛け。聞こえます。
僕は子どもが小さい時は夫婦で自宅で自営業でしたので、僕の提案で家事育児の一切すべてを夫婦で一週間交代にしました。
一週間は僕として専業主夫(婦)。次の一週間はゴロゴロして王様としてまったく何もやらない殿様生活ね。
「お茶いれて」「ご飯まだー?」「布団敷いてー」(笑)
メリハリがあって超面白かったです。ミカさんも機会があったらやってみて下さい。
でも子どもたちが思春期の頃は、僕は家にいなくて最低の夫でした。