「地域コミュニティの効用」体操しようよ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
地域コミュニティの効用
定年退職後の生き方をテーマにした映画では本作の半年前に舘ひろしさん主演の「終わった人」が公開されている、定年と言うのは大きな人生の節目、気力、体力は残っているだけに老人と言うには中途半端、だからあれこれもがくのだろう。団塊の世代の大量離職もあり定年で行き場を失った男たちが新たな社会問題なのかも知れませんね。
同じ定年でも舘さんは超エリートの設定だから何事もアグレッシブ、うって変わって草刈さんは妻にも先立たれ、文具メーカーの存在感の薄い中間管理職、家に籠って酒浸り、娘にも疎んじられて失意の中、地元のラジオ体操サークルでリスタートという、いたって庶民的なお話。
草刈さんは本作の前にフジテレビの「68歳の新入社員」で老舗和菓子会社に再就職、孫のような上司を支えるベテラン社員を熱演していました、デニーロの「マイ・インターン(2015)」にインスパイアされたのでしょう。
何をやってもダンディな草刈さんに本作のような、どじな親父役をやらせるのはギャップを面白がる趣向なのでしょうが、しょぼすぎて不憫に思えます。
定年問題といいながら親子の確執や絆の方がテーマにも思えますがクレジットを観て再認識したのですがラジオ体操関係の団体の多さと協賛からラジオ体操は添え物でなくメインテーマだったのですね・・。
昨今では若者の非正規雇用が社会問題、無事に定年退職というサラリーマン文化もそう長くは無いでしょう、祭りの文化は不滅としても地方では高齢化と過疎化が進み、都会では地域コミュニティ自体が希少な存在、ラジオ体操で共助の輪復活というささやかな提言ですが、これからの日本はどうなるのか気がかりです。